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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第71報
シリア難民の子どもたちをポリオから守れ
ヨルダンでも大規模な予防接種キャンペーン

【2013年11月5日 ヨルダン発】

むっとしてほこりっぽい空気の漂うヨルダン・ザータリキャンプの一角。避難テントの中で、コーヒーを作る19歳のハナア。傍らには1歳半になる娘のアヤちゃんが父親とボールで遊んでいます。

ハナアの一家は、シリア南部の町ボスラで住んでいた家を破壊され、ヨルダンに避難してきました。難民キャンプでの生活を始めてから9か月がたちます。ここヨルダン・ザータリ難民キャンプは、世界でも2番目の規模をもち、11万人を超える人々が避難生活を送っています。

ハナア自身、まだ大人になりきれていない年齢であるにも関わらず、すでに2人目の子どもを妊娠しています。ハナアは、妊婦である自分の身体を気遣う一方で、娘が健やかに成長できるように気をつけています。幼い命を守るために、予防接種は不可欠です。「シリアでポリオが発生したと聞きました。でも、私たちの子どもは大丈夫です」とハナアは言います。

ポリオの蔓延を防げ

© UNICEF Jordan/2013/Lyon
ザータリ難民キャンプで、ポリオの予防接種を行うコミュニティー保健員のマンスール

先日シリアで確認された10件のポリオ感染。1999年に最後の症例が確認されて以来、14年ぶりの発症例となりました。さらなる広がりを防ぐ策として、周辺国を含む地域全体の5歳未満の子どもすべてを対象とした予防接種キャンペーンが予定されており、ザータリキャンプ内でも予防接種が開始されました。

マンスール(25)は、シリア南部のダラアから避難してきた歯科医で、ザータリ難民キャンプ内の120名のコミュニティ保健員のひとりです。近隣の家を1軒ずつ訪ね、ポリオの予防接種を行います。ザータリキャンプ内の子どもの健康を守りたい一心で活動しています。

「ポリオは非常に感染力が高く危険な病気なので、予防接種は極めて重要です。ひとりの子どもが感染すると、周りの子ども20人以上に感染の危険が及びます。この病気の深刻さを考えると、非常に重要な任務を担っていると考えています」(マンスール)

マンスールの担当する地区には、ハナアとアヤちゃんが住んでいます。アヤちゃんは、少しむずかりながらもポリオの予防接種を受けました。

3日間かけて、およそ1万9,000人の5歳未満の子どもたちがポリオの予防接種を受けました。来月、2回目のポリオの予防接種が行われるに合わせ、6か月〜20歳を対象とした麻疹(はしか)と風疹の予防接種、および6か月〜5歳の子どもを対象としたビタミンAの投与も行われます。

全ての人々を守るために

© UNICEF Jordan/2013/Lyon
ザータリ難民キャンプ内での予防接種計画について話し合うユニセフのスタッフ。3日間にわたり、約1万9,000人の5歳未満の子どもがポリオの予防接種を受けました。

何万人もの人々が暮らすザータリ難民キャンプでは、病気の発生を防ぐことが不可欠です。特に、ポリオのような感染症に、国境や境界線は関係ありません。多くの人々が常に移動を続けている環境下では、一つの感染が、周辺国全体を脅かす脅威ともなるのです。

ヨルダンでは、約340万人を対象としたキャンペーンが3週間にわたって行われ、麻疹(はしか)・風疹・ポリオの予防接種に加え、子どもたちの免疫力を高めるビタミンAの配布が行われます。このキャンペーンでは、5歳未満の子ども92万人にポリオの予防接種を行われ、その後12月中旬にも追加のキャンペーンが行われる予定です。

本キャンペーンの開始にあたり、アンマンの病院で行われた式典において、ユニセフ・ソマリア事務所のロザンヌ・カールトン代表は、国内の予防接種率の高さに対して、ヨルダン政府を称賛しました。同時に、今年初めに発生した麻疹(はしか)や今回のシリアにおけるポリオ感染例を挙げ、定期的な予防接種事業の重要性を強調しました。

本キャンペーンを開始するに当たり、地元のメディアやポスター・ちらしなどを使った大規模なキャンペーンが行われました。24時間対応の電話のホットラインも開設しています。

ワクチンは病院、学校、大学を含む1,200の予防接種会場に届けられ、会場に来ることがむずかしい人々のためには、300のチームが巡回して予防接種を行います。

これらの予防接種キャンペーンは、ヨルダン保健省が主導し、ユニセフ、WHO、国連の難民支援機関およびパートナー団体が協力して実施します。

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