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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第77報
レバノン初雪、寒波到来
寒さに震える子どもたちに支援を

【2013年12月12日 レバノン・ベイルート発】

© UNICEF/Lebanon 2013/Ramzi Haidar
防水シートで覆われたテント非公式テント居住区で暮らすシリア難民 (レバノン、ベッカー高原)

今年初めての寒波がレバノンを襲うなか、ユニセフは子どもたちへの支援を強化しています。82万人を超えるシリア難民の子どもたちとその家族は、厳しい寒さの中、非公式テント居住区や共同避難所において生活しています。その生活は一段と厳しさを増し、悲惨な状況に直面しています。子どもたちが暖をとるための燃料はすでに底をつき、雪が積もったテントは重みに耐えきれずに今にも倒れそうです。

厳しい冬、子どもたちの健康状態が危険に

「ユニセフはパートナーとともに、できるだけたくさんの、困難な状況に置かれているレバノン人家族やシリア難民の家族を守るための活動を行っています。この寒波は、この先続く厳しい冬の始まりでしかありません。特に、設備が整っていない避難所で暮らす人々は、寒さとじめじめした環境にさらされています」 とユニセフ・レバノン事務所のアンナマリア・ラウリニ代表は語ります。

寒さによって、子どもたちの健康状態は一層危険にさらされています。一日一日をなんとか生き延びてきた子どもたちは、今、命を奪いかねない急性呼吸器感染症にかかる危険性が高まっています。

命を守る支援物資を早急に

© UNICEF/Lebanon 2013/Ramzi Haidar
寒さに身を縮めるシリア難民の子ども

すでに今回の寒波到来の数か月前には、ユニセフはパートナーとともに、その影響が想定される地域の近くに、必需品と冬用キット一式を輸送し備蓄していました。それにより先週末だけでも、暖かい子ども服を含む冬用キット5,000箱を、レバノン東部のAarsal など、支援の届きにくい地域に届けることができました。

これにより、合計74,603の冬用キットが、支援を待つ人々に届けられたことになります。今後1か月で、15万3,000人以上の子どもたちが冬服を受け取る予定です。

ユニセフは公衆衛生省を支援し、呼吸器感染症や下痢性疾患の治療のために必要な医療物資を提供しています。これらの物資により、最も被害を受けやすい場所で暮らす1万人の避難民に対して、治療を行うことができます。

ユニセフやパートナー団体の職員たちによれば、この寒さで最も影響を受けているベッカー高原において、非公式テント住居区や共同避難所に住む親たちの心配はますます高まっています。気温が零下に下がるなか、母親たちは、最悪の寒波が過ぎ去るまで、子どもたちを寒さから守ってほしいと嘆願しています。

初雪をもたらしたこの寒波は、今後数か月にわたって困難な状況が続くということの知らせでもあります。ユニセフはレバノン国内でも最も寒い地域の350以上の学校に、冬の数か月の間教室を温めるための燃料を提供。これまでにレバノン国内で24万1,750人の子どもたちに、冬に備える支援を届けました。

ユニセフ・レバノン事務所 岩沢 教育専門官の報告会 (2013年10月開催)

今年10月には、ユニセフ・レバノン事務所で教育専門官として働く日本人職員、岩沢久美子(いわさわくみこ)さんによる現地報告会「激増するシリア難民の子どもたち-レバノンとユニセフの支援」が、ユニセフハウス(東京)で開催されました。その報告の中で岩沢さんは、レバノンでは、政府の方針として、いわゆる難民キャンプは設置せずに、コミュニティの中で難民を受け入れている実情とあわせ、「『非公式テント居住区』では、定住につながることのないよう、(建物に)壁を作ることすら許されていません。上下水道もない、劣悪な環境に暮らす5万5千人(国連難民高等弁務官事務所の登録数 ※報告会開催時点)ともその倍ともいわれる人々に、いかに最低限の生活を保障するのかは大変難しく、特に、夏に着の身着のままで逃げてきた人たちにとって、これから迎える厳しい冬が大変です」と語っていました。

シリアでは、出口の見えない内戦が4年目に突入しようとしています。隣国レバノンには、周辺国で最も多いシリア難民が避難しています。ユニセフは、シリア国内の子どもたちや、レバノンを含む周辺国に避難している子どもたちに必要な支援を続けていきます。

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