HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > シリア緊急募金
財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第63報
子どもたちに通学用カバンと文具を 「バック・トゥ・ラーニング」 キャンペーン

【2013年9月18日 シリア発】

スクール・キットが子どもたちに届くまで

© UNICEF UNICEF Syria/2013/Halabi
ダマスカス郊外県にあるユニセフの倉庫に保管されたスクール・キットは、最も厳しい状況が続いているラッカ県やデリゾール県、またホムス県、ハサケ県、ダマスカス郊外県の学校に通う子どもたちに配布されます。
© UNICEF UNICEF Syria/2013/Halabi
ユニセフシリア事務所のスタッフが、スクール・キットの入った箱をトラックに積み込む前にチェックしています。
© UNICEF UNICEF Syria/2013/Halabi
スタッフがトラックにスクール・キットを積み込みます。100万人の紛争の影響を受けた子どもたちに届けられます。
© UNICEF UNICEF Syria/2013/Halabi
スクール・キットが届けられたダマスカスの小学校。初めての学校生活を迎える新1年生の子どもたちに、笑顔が広がります。
© UNICEF UNICEF Syria/2013/Halabi
ユニセフの通学用カバンの中に入っている文房具を手にとる1年生。

シリアでは9月15日に新学年がスタートし、子どもたちは新学期を迎えました。ユニセフは、シリア教育省やパートナーとともに、小学校に通う年代の子どもたち100万人を対象に、「バック・トゥ・ラーニング(再び学ぼう)」キャンペーンを行っています。

ペンやノートなどの文具が入った通学用カバンを用意し、シリア国内全14県の100万人の子どもたちに提供。その半数は、最も厳しい状況が続いているラッカ県やデリゾール県、またホムス県、ハサケ県、ダマスカス郊外県の学校に通う子どもたちに配布される予定です。 くわえて、指導用教具5000セット、遊具などがつまったレクレーションキット3000セット、幼児向けの学習キット800セットも提供します。

■5校に1校は使えない状況

2年半に及ぶシリア内戦。これまでに、国内の約4000の学校、つまり5校に1校は損壊や破壊、自宅を離れ避難してきた人たちの仮住まいとなっており、学校として使用できません。昨年度以降、6歳から15歳までの約200万人のシリアの子どもたちは、治安の悪化や紛争によって通学できず、中退してしまいました。

ユニセフ・シリア事務所のアブデル・ジェリル代表は、「このキャンペーンでは、特に生活の場を変えざるを得なかった国内避難民の子どもたちの就学を向上させることを目指しています。3年も学校に通えていない子どももいます。子ども自身の幸せのためにも、そして社会の未来のためにも、子どもたちが勉強できるようにすることは不可欠です」と述べました。

参考:(出典 UNICEF SYRIA EDUCATION AUGUST 2013)

<教育分野の概況>
●シリアにある小学校の数:22650校
・3004校が損壊または破壊
・931校が国内避難民の仮住まい(シェルター)として利用されている(2013年7月時点)
・2012−2013年度に基礎教育(1〜9年生)を中退した子どもたちは推定190万人

●2012-2013年度の小学校の出席率は国全体で62%
・紛争が激しい地域では出席率が低く、アレッポ県23%、イドリブ県30%、ハマ県とダーラ県50%
・紛争がさらに激しいデリゾール県とラッカ県では、データ収集不可能

■在宅学習プログラムの立ち上げ

キャンペーンでは、メディアやポスター、チラシなどを使って「新学期にあわせ、子どもたちを再び学校へ」と呼びかけています。しかし、治安情勢の悪化から通学途中の危険を案じて、子どもを学校に通わせられない地域や家庭もあります。

こうした地域に暮らす子どもたちのために、ユニセフは新たに在学学習プログラムを開発、40万人の子どもたちを対象に実施します。プログラムの対象は1年生から4年生で、アラビア語、英語、算数、科学を学びます。教科書に加え、子どもたちの学習をサポートする教師や保護者向けのトレーニングを用意し、子どもたちが学び続けられるようにしています。

* * *

シリア国内の子どもたちに、教育支援を行うための資金が必要です。ユニセフはシリア国内での支援事業のために、教育分野での3,300万米ドルを含む1億1000万米ドルの資金を必要としていますが、現在、1600万米ドルに過ぎません。