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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第32報
深刻な資金不足に直面するユニセフの活動

【2013年2月19日 ジュネーブ/ダマスカス発】

© UNICEF/Iraq/2013/Wathiq Khuzaie

好転の兆しが全く見えないシリアの国内情勢。一方で、緊急支援活動に必要な資金も思うように確保できていません。ユニセフは、こうした課題に直面しながら、今もその数が増加し続けている支援を必要とするシリア国内の400万以上の人々ために、緊急支援物資を急送し続け、またその規模も拡大させています。

この紛争の影響を受けている人々の少なくとも半数以上は子どもたちです。その多くは、紛争のために住む場所を追われ、家を出る時に持ち出すことができたのは僅かな身の回りの品だけのケースも多く、生活必需品でさえ不足した生活を強いられている人々が少なくありません。

「状況は悪化する一方ですが、ユニセフは、毛布や子ども用の防寒着、衛生用品、ビニールシート、高カロリービスケットなど、人々の命を繋ぐのに最低限必要な支援物資の配布を、どうにか拡大してきました」「こうした活動の多くは、さまざまなパートナー団体との連携の賜物です」ユニセフ・シリア事務所のアブデル・ジェリル代表はこのように話しました。

「各地で戦闘が拡大している今のような状況の中で、支援物資を届けることが容易ではなかった地域も少なくありませんでした」「しかし、パートナー団体とユニセフの現場のスタッフの努力のおかげで、確実に成果を上げています」(アブデル・ジェリル代表)

つい先週の土曜日も、パートナー団体と協力して、ユニセフは、シリア北西部イドリブ州のカラメーに逃れた6,000人の避難民に、第一便となる救援物資を届けました。

© UNICEF/Iraq/2013/Wathiq Khuzaie

またこの3週間の間に、戦闘が長期化する中、厳しい冬を迎え深刻な状況に直面しているアレッポをはじめとする北部の都市でも、切実に必要とされている毛布4万5,000枚を配布しました。

また、デリゾール、アル・ハサカ、ホムス、イドリブ、アル・ラッカー、ダマスカスでも、子どもたちを中心に、計9万枚の毛布を配布。さらに、1万4,000枚のビニールシートや、子ども用防寒具も1万セット以上を配付しました。タルトス、ホムス、タルビセでは、文房具などがセットになった「箱の中の学校」キットを176セット届けています。7,000人の子どもたちが、このキットの恩恵を受ける予定です。

こうした物資の支援と並行して、ユニセフは、浄水用の塩素1000万トンもシリア国内に送付。この塩素は、安全な飲料水を得ることが難しくなり、水を媒介とする疾患のリスクにさらされている地域に暮らす約1000万人の飲料水の改善のために活用される予定です。武力衝突などによって水道設備などの多くのインフラが崩壊しました。ユニセフは、安全な水を利用できる割合が、紛争前に比べ3分の1に低下した地域もあると推測しています。

ユニセフが支援活動を続ける上で、資金の不足が大きな障げになっています。昨年12月、国連は緊急合同アピールを発表しました。この中で、ユニセフは、水と衛生、保健と栄養、教育、心理社会的ケアの各分野での支援活動に必要な資金として、総額680万米ドルの支援を求めました。しかし、現在までに確保できた資金は、その20パーセントにも及びません。

2011年3月にシリア情勢の悪化が始まってから、ユニセフは、今日までに、計130万人の子どもたちにはしかの予防接種を実施し、3万5,000人に学校教育の場を提供。飲料水を2万6,000人に提供し、心理社会的ケア活動を通じて、3万2,000人の子どもたちを支援しました。