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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第76報
子ども2300万人超にポリオ予防接種
中東7ヶ国で一斉に 過去最大規模のキャンペーン

【2013年12月9日 カイロ/アンマン発】

今週、中東地域で過去最大規模の予防接種キャンペーンが展開されています。2,300万を超える子どもたちを対象にしたこのキャンペーンは、この先数週間かけて、シリア国内と周辺国で実施されます。

この予防接種キャンペーンは、シリア国内で17件のポリオ感染例が確認され、周辺国でもポリオウイルスが検知された事態への一連の対応の中でも、非常に重要な施策の一つです。

過去最大規模のキャンペーン

© UNICEF/Turkey2013/Güler
キャンペーンの一環として、トルコでは今、およそ130万人の子どもたちがポリオの予防接種を受けています。

これ以上のポリオ感染の発生と感染の拡大を防ぐため、今後数か月をかけて、5歳未満のすべての子どもたちに複数回の予防接種を実施する予定です。家で暮らしている子どもも、紛争によって避難生活をおくっている子どもも全員が対象です。予防接種は、人口が集中している場所では集団予防接種の形で、他方では家庭を戸別に訪問する形で実施。各国政府の保健関係当局が主体となり、ユニセフと世界保健機構(WHO)、シリア・アラブ赤新月社が、その活動を支援します。

シリア国内では、220万人の子どもたちへの接種が目標です。この中には、紛争地域で暮らしていたり、すでに行われたキャンペーン中に予防接種が受けられなかった子どもたちも含まれます。シリア国内の多くの子どもたち、特に封鎖された地域に足を踏み入れて出られなくなった子どもや、現在も紛争が起こっている地域に家がある子どもたちは、予防接種が受けられない状態で暮らしています。

地域による差はありますが、現在までに入っている報告では、シリア危機が始まって以来大規模に展開されてきた人道支援活動の一環として、これまでに実施された医療・保健分野での支援よりも、遥かに大きな規模でワクチンが届けられているようです。現在、この先実施される予防接種キャンペーンの実施状況を、紛争が続くシリア国内でもより正確に確認できるよう、統計収集システムの増強も予防接種活動と並行して実施されています。

予防接種のため、6ヶ月間の戦闘停止を

© UNICEF/Syria2013/Omar Sanadiki
ユニセフは、シリアやその周辺国における、感染力の強いポリオの拡大を防ぐため、戦闘行為を停止の要請も含めたすべての手段を講じています。

「すべてのシリアの子どもたちが、(ポリオという)病気から守られなければなりません」とWHO東地中海地域事務所のアラ・アルワン地域代表が語ります。「ポリオを撲滅するためには、私たちは、まず、子どもたちにワクチンを接種できないすべての理由を”撲滅”しなければなりません。すべての子どもたちへの予防接種に必要な期間は、今後6カ月。この活動に取り組む私たちは、声を合わせ、シリアの紛争に関わるすべての勢力に対し、予防接種キャンペーン中は戦闘行為を停止するよう強く求めます」

また、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所のマリア・カリビス代表は、「まるでシリアの子どもたちの苦しみが未だ足りていないかのように、今、健康と成長を脅かす新たな敵が彼らを危険にさらしています。ポリオ予防接種キャンペーンは、現在、多くのパートナーが協力して、大規模に展開されています。しかし、予防接種をまだ受けられていない子どもたちにワクチンを届けることができなければ、私たちは、ポリオの蔓延を停止することはできないのです」

ユニセフは、今後数カ月間にわたり、シリア国内だけで1,000万回分のポリオワクチンを届ける予定です。11月29日には、すでに200万回分のワクチンがダマスカスに到着しています。

ユニセフとWHOが、2013年11月から2014年4月にかけ、シリアと周辺国計7ヶ国で展開するポリオ予防接種キャンペーンに掛かる費用は、総額で3,900万米ドルあまりと見込まれています。

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