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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第36報
シリア危機〜勃発から2年
2百万人以上の子どもたちが“失われた世代”に
ユニセフ「2年レポート」発表

【2013年3月12日 アンマン/ジュネーブ/ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2012-0206/ROMENZI

シリア危機の勃発から間もなく丸2年。ユニセフは、本日(12日)発表した最新報告書を通じ、武力紛争がもたらしている収束の見通しの立たない暴力の連鎖と大規模な人口の移動、インフラの損壊、日常生活に必要不可欠な基本的な社会サービスの欠如が、全ての年齢層の子どもの生活を脅かし続けていると訴えます。

「長引く紛争による瓦礫と破壊にさらされた環境の中で、シリア国内の紛争地域の多くの子どもたちが、過去も将来の見通しも見失うような体験をしています。子どもたちが、『ロスト・ジェネレーション(失われた世代)』となってしまう危険が高まっています」ユニセフ アンソニー・レーク事務局長はこう話しました。

本報告書によると、最も激しい戦闘地域では、安全な飲料水へのアクセスが3分の2に減少し、その結果、皮膚病と呼吸器系疾患が増加。5校に1校の学校が攻撃を受けて全半壊したり、あるいは避難所として使用されているため、学校の再開もままならない状況が続いています。アレッポでは、子どもの出席率はわずか6%まで低下。機能している学校でも、1クラスに100人もの子どもが溢れている例もあります。

病院や保健センターも甚大な影響を受け、専門的な技術を持つスタッフは避難してしまいました。また、子どもたちは、家族や友人の死を目撃したことによるトラウマに悩まされ、銃声や戦闘の光景を思い出し恐怖に脅えています。

© UNICEF/NYHQ2012-1128/SALAH MALKAWI

ユニセフのレーク事務局長は、「ユニセフは、全ての紛争当事者に対し、全ての紛争地域の子どもたちに、支援を何の制限も受けずに届けられる環境を確保するよう強く求めます」と訴える一方、国際社会にも、「今、私たちが必要としている資金が確保できなければ、この危機の中、高まるばかりのニーズに応えることはできません」と訴えます。

危機が始まって以来、ユニセフは、パートナー団体と共に、シリア国内外に避難を余儀なくされた人々のために、飲料水や衛生設備(トイレ)の提供のほか、保健、教育、子どもの保護のそれぞれの分野での支援活動を重点的に展開しています。

現在までに、シリア国内では400万の人々が安全な飲料水を利用できるようになりました。また、保健チームが、シリア国内各地を回り、150万人の子どもにはしかとポリオの予防接種を実施。さらに、教育のみならず普段の生活を子どもたちが取り戻せるよう、学校や学校クラブへの入学支援を実施。その恩恵を受けた子どもの数は、約7万5,000人にのぼります。

また、ヨルダン、レバノン、イラク、トルコへの国外避難を余儀なくされた30万人以上のこどもたちにも安全な飲料水や衛生設備(トイレ)を提供し、教育、特別なケア、搾取や虐待からの保護といった分野での支援サービスを実施しています。

しかしながら、これらの活動は、深刻な資金不足に直面しています。昨年12月、ユニセフは、向こう6ヵ月間の活動に必要な資金として、総額1億9500万米ドルの支援を国際社会に要請しました。しかし、現在までに確保できた金額は、約20パーセントに過ぎません。ユニセフは、より一層の資金提供を求めています。

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