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シリア緊急募金 第60報
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© UNICEF/JORDAN2013/Sharpe |
ヨルダン・ザータリ難民キャンプで、通学カバンに学用品などをつめるシリア難民ボランティアたち。「キャンプには大勢の子どもたちがいる。子どもたちを助けるのが務めだ」と語る父親の姿も。 |
2年半にも及ぶ紛争は、教育面に深刻な打撃を与えています。学校は学びの場であるばかりでなく、子どもたちが安心して過ごせる場。紛争前は、シリアの初等教育純出席率が9割近く、学校に通えることは多くの子どもたちにとって「日常」でした。
紛争下にありながらも、シリアの子どもたちが学び「日常」を取り戻せるよう、9月の新学期開始にあわせ、ユニセフは、シリア及び周辺国で「バック・トゥ・ラーニング/スクール(再び学ぼう/学校へ戻ろう)」キャンペーンの準備を進めています。
シリア国内では、内戦により3,000以上の学校が被害を受けるか破壊され、930以上の学校が国内避難民のシェルターとなっています。戦闘が最も激しい北部のイドリブ県とアレッポ県では、1,200以上の学校が損壊・破壊されました。
アレッポ県での初等教育出席率は23%、同じくイドリブ県では30%にまで低下。授業を行っている小学校は、避難民の子どもたちであふれており、教室や備品、教材、教師が不足しています。
© UNICEF/Lebanon/2013/Baar |
レバノンのベッカー高原に避難したシリアの子どもたち。「バック・トゥー・ラーニング(再び学ぼう)」の取り組みでつくられたテントで学んでいる。 |
シリア教育省の最新データによると1年生〜9年生のうち、2012-2013年度、約190万人の子どもたちが小学校を中退しています。これは、在学していた子どもの全体の39%にもあたります。
参考:(出典 ユニセフ『世界子供白書2012』)
© UNICEF/Lebanon/2013/Baar |
ダアラで放火された学校の様子 |
シリア国内では治安情勢の悪化で通学ができない、学校が機能していないなどの理由から、多くの子どもたちが学校に通えていません。一日に2〜3時間であっても、子どもたちが学び、守られ、できうる限り「日常」を感じられる必要があります。
ユニセフは、シリア教育省と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)とともに、自宅での自習学習プログラムを立ち上げます。本学習プログラムは、国のカリキュラムに沿っており、プログラムに基づいて学習することで、その学習履歴が公的に認められ、進級などが可能となります。このプログラムは、紛争で通学が困難な地域の子どもたちのうち、40万人以上を対象としています。
また、校舎など教育インフラが激しく損壊した地域を中心に、300のプレハブ校舎を建設する計画です。現時点で70校が完成しています。
9月から始まる新学期に合わせ、子どもたちが学校に通いやすくなるよう、文房具が入った通学カバン一式を100万人分用意。シリア国内全14県に配布しています。このほか、教師向けの資材、学習教材、遊び道具、幼児向けの物資も、あわせて提供しています。
シリア難民を受けて入れているレバノンやイラクなどの周辺国でも、「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)」キャンペーンが実施予定で、準備が進められています。