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シリア緊急募金 第45報
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1年2ヵ月前、紛争により、家族と一緒にヨルダン・イルビドに避難してきたハニンちゃん。ヨルダンに避難した約45万人のシリア難民のうち75%が、都市部のコミュニティで生活しています。 |
シリアのダラア南部の町に暮らしていたハニンちゃん一家は、1年2ヵ月前、紛争の影響が自宅のすぐ近くまで迫り、避難を余儀なくされました。最終的に、シリアとの国境から少し南に位置するヨルダンのイルビドのアパートに暮らすことにしました。
こうしたことは、多くのシリア難民の家族が経験していることです。約45万人ものシリア難民がヨルダンへ避難。そのうち75パーセントは、都市部のコミュニティで避難生活を送っている状況です。
勉強を継続できるということは、ハニンちゃんをはじめとする子どもの将来にとって大変重要なことです。教育省は、ユニセフ、欧州連合、ドイツからの支援を受けて、学校を無償化しています。
多くのシリア難民が暮らす地域にあるヨルダンの学校では、教育を続けることが困難なシリアの子どもたちのために、2交代制で授業を行い対応しています。ユニセフは、3万1,000人以上のシリアの子どもたちの教育を支援していますが、実際に学校に通う必要のある子どもは、10万人に上ります。
「シリアの子どもたちには、世界のほかの地域の子どもと同じように、教育を受ける権利があります」「子どもたちは、深い苦しみを経験してきました。こうした子どもたちにとって、学校に戻ることが、希望に繋がるのです」こう話すのは、ユニセフ・ヨルダン事務所のミシェル・セルバデイ副代表です。
ハニンちゃんの父親のアマル・アバゼエドさんは、ハニンちゃんや3人の息子たちが教育を続ける重要性を強調します。「最も重要なことは、教育を修了するということです」「中には、1年や2年で学校を止めてしまう子もいます」
「子どもたちが教育を受けないでい続けたら、新しい世代になっても、皆読み書きができなくなってしまいますよ」
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こうしたコミュニティでは、多くのシリアの子どもたちがいまだに飽和状態の教育状況の中、教育を受ける機会を求めています。避難してくる子どもの数は日増しに増加しています。 |
紛争により、国外への避難を強いられてきたシリア難民の数は膨れ上がっています。こうした人々へのサービスの提供が、多くの課題のうちのひとつです。
ユニセフは、パートナーと共にボランティアの方々のネットワークを構築。こうしたボランティアの方々が、国中の家を一軒一軒回り、シリア難民の家族に手を差し伸べ、子どもが学校へ通えるように転入などの登録を手助けしています。また、保健や子どもの保護、その他の難民のためのサービスについての情報も伝えています。
ボランティアの一人、ラウェエヤ・マサエエドさんは、自分や他のボランティアの方が行っている活動に勇気付けられていると話します。「学校と家族を結びつけているこの活動を行っていると、その成果を実感できるだけでなく、次の日の活力と仕事をもっとしようという元気をもらえるのです」
ボランティアの方々は、ヨルダンとシリアの両方の方がおり、暮らしている場所についての情報を共有し合っています。こうしたボランティアの方々の努力により、1ヵ月間で、1,000人の子どもがイルビド内の学校に登録されました。
ヨルダン全域の都市部のコミュニティでは、多くのシリアの子どもたちがいまだに飽和状態の教育状況の中、教育を受ける機会を求めています。毎日、避難してくる子どもの数は増え続けている状況です。しかしながら、場所や教員、教科書の提供は、多額の資金のかかる問題です。
「資金を集めることが、大きな問題です」「教育にはお金がかかります。政府の対応能力は限界にきています。ですからユニセフは、すでに公立の学校でシリアの子どもたちのための支援を行っているのです」サルバデイ代表はこのように述べ、次のように続けました。
「活動を拡大するためには、支援が間に合うように資金を用意しなければなりません」
ハニンちゃんが通う臨時の学校では、少なくともまだ夢や将来について話すことができます。「大きくなったら、アーティストになりたい。私の好きなことだから」
「シリアに戻ったら、友達に会って、学校や自宅に戻って・・・。 全部が元通りになるといいな」(ハニンちゃん)