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ユニセフ協会からのお知らせ

子どもの命を奪う世界で2番目の原因=下痢
ユニセフとWHO 下痢性疾患についての最新報告書発表

【2009年10月14日 ニューヨーク発】

14日、ユニセフと世界保健機関(WHO)が発表した最新報告書によると、安価で効果的な治療法が存在しているにもかかわらず、下痢性疾患で命を落とす人々の割合が、HIV/エイズ、マラリア、はしかに関連する死亡よりも高いことが明らかになりました。

本報告書『下痢性疾患:なぜ子どもたちはいまだに命を落としているのか。何ができるのか』の中には、下痢性疾患の原因、予防と治療法の利用状況、さらに下痢性疾患による死亡を減らすための7つのポイントが提示されています。

「先進工業国ではささいな問題に過ぎない下痢性疾患によって、毎年推定150万人の子どもたちが命を落としています。これは悲劇的なことです。」ユニセフのアン・ベネマン事務局長はこう話します。「下痢性疾患のための安価で効果的な治療法があるにもかかわらず、開発途上国では、下痢性疾患の子どものわずか39パーセントしか、そうした治療を受けていません。」

WHOのマーガレット・チャン事務局長は次のように述べました。「下痢性疾患で命を落としている子どもたちがどこにいるのかは分かっています。また、こうした死を防ぐために何をしなければならないのかも分かっています。私たちは、政府やパートナーと協力して、この7つのポイントを実行に移していかなければなりません。」

下痢性疾患は、様々な病気の原因となり得る胃腸部の感染症の一般的症状です。ほとんどの急性下痢性疾患の原因はわずかな微生物で、下痢性疾患に関連する病気で入院している5歳未満の子どもの40パーセント以上の原因は、そうした微生物のひとつであるロタウイルスであると言われています。ロタウイルスには、既に安全で効果的な新しいワクチンが開発されていますが、多くの開発途上国ではいまだに利用できない状況です。

© UNICEF /2009

子どもの下痢性疾患の症状は、ほとんどの場合軽いものですが、急性の下痢性疾患の場合、深刻な脱水症状が引き起されます。この脱水症状は、すぐに水分が補給されないと死に至ります。このため、経口補水療法が非常に重要です。新たに開発された低浸透性経口補水塩(ORS)は、下痢性疾患に苦しむ子どもたちの脱水症状を防ぎ、子どもたちの命を守る、簡単で安価な治療法なのです。

世界の下痢性疾患による死亡の約88パーセントは、安全でない水、不適切なトイレ、劣悪な衛生環境に起因しています。2006年現在、世界で推定25億人の人々が適切なトイレを利用しておらず、開発途上国に暮らす4人にひとりは屋外で用を足しています。

安全な水と正しい衛生習慣は、子どもの下痢性疾患を予防するのに非常に効果があります。石けんを使った手洗いは下痢性疾患の症例を40パーセント以上減らすことが明らかになっています。石けんを使った手洗いは、この軽視されてきた問題(=下痢性疾患)による子どもの死を削減する、最も費用対効果の高い方法のひとつなのです。10月15日(木)は、「世界手洗いの日」です。80以上の国と地域で、子どもたちが、せっけんを使った正しい手洗い方法を一斉に学びます。

子どもたちの全般的な健康状態や栄養状態は、下痢性疾患へのかかりやすさと症状の深刻さに深く関係しています。栄養不良の子どもたちは下痢性疾患に陥りやすく、症状は、深刻で長期にわたる可能性が高い傾向があります。また、一旦罹患すると下痢を繰り返し、栄養不良の状態をさらに悪化させる大きな危険性があります。

本報告書が示す下痢性疾患の子どもたちの命を守るための7つのポイントは、治療に関する2つのポイントと予防に関する5つのポイントで構成されています。

【治療における2つのポイント】

  1. 脱水症状を防ぐために水分補給を行う
  2. 病状を軽減し下痢症状の期間を短くするために亜鉛薬を処方

【予防における5つのポイント】

  1. ロタウイスルとはしかの予防接種
  2. 完全母乳育児とビタミンA剤の補給
  3. 石けんを使った手洗い
  4. 安全で十分な量の水の確保
  5. 地域(コミュニティ)全体への衛生観念・習慣の普及

1970年代と1980年代に行われた子どもたちの下痢性疾患予防キャンペーンでは、子どもたちの保護者への教育を実施し、脱水症状を防ぐための経口補水塩による治療法の普及を図りました。こうしたキャンペーンによって、大きな進展も見られましたが、その後、その他の保健問題に国際社会の焦点が向けられてしまったため、今改めて、下痢性疾患の治療と予防問題に対する関心と支援が緊急に求められています。

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