メニューをスキップ 財団法人日本ユニセフ協会
HOME > 協会からのお知らせ2010年

ユニセフ協会からのお知らせ

エチオピアのテレビ番組が子どもの参加と公平性を促進

エチオピアのテレビ番組が、日本で開催された教育コンテンツの国際コンクールで、ユニセフ賞を受賞しました。この番組は、搾取や児童婚など、エチオピアで多くの少女たちが直面している課題に取り組む上で、子ども自身の参加が重要であることを強調しています。

© Whiz Kids Workshop
有害な伝統的慣習に対する人々の意識を高めようと、自身の経験に基づき一分間のビデオを制作するエチオピア人の14歳の少女、イエメセラチさん 。

「日本賞」教育コンテンツ国際コンクールは、1965年以来、教育的なコンテンツの質的な向上を主な目的として毎年開催されています。ユニセフ賞は、同コンクールで授与される11の賞のうちの一つで、困難な状況下にある子どもの生活や境遇についての理解を促す優れた作品に贈られます。今年は、11の国や地域から参加した14名の審査員が、64の国と地域の計226団体から寄せられた、過去最多となる409の作品を審査しました。グランプリは、日本放送協会(NHK)による番組「素数の魔力に囚われた人々」に決定しました。

そして今年、ユニセフ賞を勝ち取ったのは、ウィズ・キッズ・ワークショップでした。その番組「私にも撮らせて」は、有害な伝統的慣習を題材とした自作の一分間番組を通じてそのような問題に対する人々の意識を高めようとする、一人のエチオピアの少女を映し出しています。

取り残された農村の少女たち

14歳のイエメセラチさんは、父親が決めた結婚から逃れるために、村を出ました。「私の村では、女の子は12歳までに婚約させられ、14歳までに結婚します。そのように結婚していく若い女の子たちには、自分の子どもがいますが、彼女たち自身も子どもで、とても沈んだ表情をしています。」現在は、首都のアディスアベバにある、虐待された子どもたちのための施設に住んでいるこの少女は訴えます。「例えば、私が住んでいた所では、男の子たちが学校に行っている間、女の子たちは働かなくてはなりませんでした。」

2005年に行われた人口保健調査によると、エチオピアでは、18歳未満で結婚あるいは事実婚状態になった20歳から24歳の女性の割合が、都市部で27%だったのに対し、農村部では55%でした。最も貧しい2割の人々の間では、児童婚の割合は61%で、最も豊かな層の二倍でした。

児童婚の問題に挑む

© Whiz Kids Workshop
有害な伝統的慣習に対する人々の意識を高めようと、自身の経験に基づき一分間のビデオを制作するため、研修を受けるエチオピア人の14歳の少女、イエメセラチさん(右端)。

イエメセラチさんは一週間に亘りビデオ制作の研修を受け、「鎖」と題した自身の一分間ビデオのために台本を書き、役を演じました。この作品では、児童婚などの困難な状況に追い込まれた農村の少女の様子が描かれています。「今、私は自分の経験を描いた作品に取りかかっていて、とても満足しています。そのビデオは、有害な伝統的慣習に関するものです。」

このビデオ制作研修は、欧州文化財団、ワン・ミニッツ財団、そしてユニセフの主導により、声なき若者たちの自己表現や参加を奨励するために始められた、ワン・ミニッツ・ジュニアという国際的なプロジェクトの一環です。セーブ・ザ・チルドレン・デンマークからの資金提供も受け、ウィズ・キッズ・ワークショップがエチオピアでの研修において重要な役割を果たしました。

子どもたちを助け、変化をもたらす

© NHK/2010
日本賞授賞式において、ユニセフ東京事務所の平林国彦代表より、ウィズ・キッズ・ワークショップのゼネラル・マネージャー兼共同設立者のブルクタウィット・ティガブ氏に対し、ユニセフ賞を贈呈。

イエメセラチさんは、学校教育を修了し、陸上の選手になることを夢見ています。「お金を貯めたら大きなお家を建てて、厳しい状況にある人たち、特に産科ろう孔の問題を抱える子どもたちを助けたいと思います。」体が十分に発達する前に子どもを生むと、産科ろう孔を引き起こす場合があります。母親の膣や膀胱、直腸などが出産時に傷つき、その結果、排泄物が漏出してしまうのです。こうした女性たちは、多くの場合、夫や家族からも受け入れられず捨てられてしまいます。

第37回日本賞授賞式は、10月27日に東京のNHKで行われました。皇太子殿下ご臨席の下、その他の関係者も出席する中、ユニセフ東京事務所代表の平林国彦氏がユニセフ賞を贈呈しました。平林氏は、次のように述べています。「取り残された子どもたちは、社会の中で良い変化をもたらす大きな力を潜在的に持っています。そのような子どもたちを支援し参加を促すことにより、公平性のある、子どもにふさわしい世界を一緒に築いていくことが重要です。」

トップページへ先頭に戻る