シリア緊急募金第89報
家族を支えるシリア難民の14歳
学校に通えず、1日13時間労働
【2014年1月26日 イラク・スレイマニヤ発】
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© UNICEF/Iraq-2013/Noorani |
家族の生計を支えるため、学校に通うことをあきらめたアーメッドくん(14歳) |
“タスロガレストラン”は、イラク北部のクルド地区東部に位置するスレイマニアから南部に向かう際に通過する、唯一のお店です。行き交うトラックのなかには、遥か遠方のサウジアラビアを目指す車両もあります。
1日13時間労働
ここで働くアーメッドくんは14歳。サラダを作り、お茶を提供し、テーブルを片付けます。彼の仕事は朝8時から始まり、1日13時間働きます。
10カ月前、アーメッドくんは家族とともに紛争下のシリアからイラクへのがれてきました。このレストランで働き始めたのは5ヶ月前。それまでは、11歳の弟モハメッドと一緒に、道端に停めたトラックで、野菜を売る短時間の仕事をしていました。
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© UNICEF/Iraq-2013/Noorani |
レストランに来た客の注文を受け、ケバブを調理しています |
「シリアにいるときは学校に通うことができました。学校が終わった後の午後は、小さな店で働いていました。とても幸せな日々でした」とアーメッドはいいます。
物静かに話すこの少年にとって、今や学校に通うことは遥か遠い目標となってしまいました。ここイラクのスレイマニアとシリアでは、同じクルド人であっても異なる方言を話し、教育面でも異なるカリキュラムを有しています。それゆえに彼の両親は、イラクの学校で学んだとしても、その単位はシリアに戻った時には認められないのではないか、との疑念をもっています。
「学校に通わせてあげられない」父の思い
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© UNICEF/Iraq-2013/Noorani |
調理、給仕、片付けなど、朝8時から1日に13時間働きます |
町に家を借りて生活をしている家族にとって、アーメッドくんの毎月の給料350ドルはなくてはならない収入です。アーメッドには3人の弟がいて、彼らの食糧も必要です。
鋼鉄工場で働く父アブドゥルさん(45歳)は、「かつて、学校へ通っていた子どもたちは今、朝8時から夜9時まで身を粉にして働き、疲れ果てて家へ帰ってきます。息子たちがいたたまれなくて、どうしようもありません」と話します。
アーメッドくんは仕事をすることを嫌がりません。上司は優しく、一緒に働いているシリア人の友達2人とも仲良しです。
「仕事に関しては大丈夫です。問題ありません。けれど、シリアに戻る機会があればいいなぁと思います。通っていた学校や、働いていたお店が懐かしいです」
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