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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第123報
給水施設への攻撃停止を求める
安全な水を確保できず、腸チフス患者など増加

【2014年7月2日 ダマスカス発】

シリア国内で、紛争に関わる勢力による安全な水へのアクセスの妨害行為が増加しています。劣悪な水とトイレの衛生環境や保健状況と相まり、避難生活を送ったり、厳しい状況下に置かれている何十万人もの市民が苦境に立たされています。こうした状況は、到来した夏の期間、腸チフスやA型肝炎、コレラ、そのほかの感染症など、水や食物に起因する病気の感染リスクを高める要因となります。

200万人が定期的に水を得られず、感染症が拡大

避難所の給水場所で長い間並んで汲んだ水を持ち帰る男の子
© UNICEF Syria/2014/Kumar Tiku
避難所の給水場所で長い間並んで汲んだ水を持ち帰る男の子。

水と衛生(トイレ)施設は、この1年で壊滅的な被害を受けました。主要な給水ネットワークは崩壊し、シリア北部と東部の主水源となっているユーフラテス川を含め、水の汚染が広がっています。2014年の降雨量も最少雨量を記録し、前例のない規模の干ばつを引き起こし、状況の悪化の一因となっています。

6月2日にアレッポで起きた爆発は上下水と電力ネットワークに被害を与え、アレッポ市では、水の汲み上げができなくなり、推定200万人が定期的に水を得ることができなくなっています。現在、水の汲み上げ場所への安全なアクセスは確保されておらず、復旧には3週間がかかるとみられています。

デリゾールでは、水と電力の供給が寸断されているとの報告があり、感染症が拡大しています。医療従事者によると、腸チフスと疑われるケースが増加の一途をたどっているとのことです。早期警告対応システムによると、デリゾール県では1,650人に腸チフスが疑われており、その多くは、ブカマル(Al-Bukamal)とマヤディン(Al-Mayadin)の住民といいます。また、ダマスカス郊外の東ゴータ(East Ghouta)での軍事行動で、地元や周辺地域の水供給に影響が出る恐れがあるとの報道もあります。

給水設備への攻撃停止を

ユニセフとWHO(世界保健機関)は、シリアでの紛争に関わるすべての勢力に対し、安全な水やその他の不可欠なサービスへのアクセスを、戦争の駆け引きの手段として用いることを直ちに止めるように求めます。また、アレッポのブスタン・バシャ(Bustan Al-Basha)での戦闘を直ちに停止し、シリア赤月新社やそのほかの技術専門家が、安全に修理に向かえるようにすることを要請します。

この夏、感染症発生のリスクにある厳しい状況に置かれている住民への安全な水や保健・衛生物資の運搬を含む人道支援のアクセスを妨げないことを、緊急性の高い要請として、改めて表明します。

また、国際社会に対し、シリア国民の切迫した人道支援ニーズを優先的課題として取り組むこと、また人道アクセスを直ちに確保するために給水設備を狙った攻撃を止めることを働きかけることを求めます。