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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第126報
ユニセフ・ヨルダン事務所 調査結果
児童婚減る兆し見られず
シリア難民の少女の児童婚急増中

【2014年7月16日 アンマン(ヨルダン)発】

ヨルダンのザータリ難民キャンプの心のケアプログラムで避難民の若者が描いた児童婚の絵。
© UNICEF/JORDAN2014/Malhas
ヨルダンのザータリ難民キャンプの心のケアプログラムで避難民の若者が描いた絵。

ユニセフ・ヨルダン事務所は、このたび、少女の結婚に関する調査を行い、全47ページの報告書「ヨルダンでの早期婚調査2014年(A study on early marriage in Jordan 2014)」を発表しました。その結果、ヨルダンでは少女10人につきひとり以上が18歳未満で結婚しており、この割合はこの10年ほど比較的一定の割合となっているものの、同国に避難しているシリア難民の少女の間では、18歳未満での結婚が急増していることがわかりました。

18歳前に結婚、またはそれに相当する状態にあることを児童婚(child marriage)といいます。本報告書では、15〜17歳の結婚を児童婚または早期婚(early marriage)と定義します。ヨルダンでは、15〜17歳での結婚はイスラム法廷の特別承認が得られれば、例外的に可能となっています。

ヨルダン、シリア難民の間で児童婚が急増

ユニセフ・ヨルダン事務所代表のロバート・ジェンキンスは「18歳未満で結婚すると、少女が妊娠に伴う合併症を患い、虐待の被害を受ける恐れが高まります。また、教育を受けられなかったことから、経済的な機会を得ることがより限られる結果、貧困の連鎖に陥りやすくなります」と述べました。

調査では、2013年にヨルダンで登録された全結婚のうち、18歳未満の少女との結婚は13.2%の9,618人だったことがわかりました。

しかし、ヨルダンに避難しているシリア難民の間では、児童婚の割合が急増しています。18歳未満の少女の結婚の割合は、2012年には5人にひとり(全804人中の18.4%の148人)でしたが、2013年には4人にひとり(全2,936人中の25%の735人)、今年は1月〜3月のわずか3カ月間で、3人にひとり(全1,614人中の32%の512人)となっています。シリア紛争以前、シリアでは児童婚は一般的ではありませんでしたが、避難生活や貧困、教育機会の喪失といった要因が組み合わさり、児童婚の割合が急増しています。

報告書は、ヨルダンでの児童婚に共通する理由として、貧困またはたくさん娘がいる大家族の負担の軽減、幼い少女への保護の提供、文化的または家庭での伝統の継続、虐待的な家庭環境にある少女の避難手段を指摘しています。

ユニセフ、職業訓練や心のケアを提供

ヨルダンの法律では、男女とも18歳が婚姻可能年齢となっています。しかし、イスラム法廷の承認が得られた場合など、特別な条件下では、18歳未満でも結婚が可能です。ユニセフは、婚姻可能年齢を18歳とする国際的な基準を順守することを求めています。

ユニセフは、他の国連機関や国際NGO、現地のパートナー団体、教育関係者、保護者、宗教指導者とともに、児童婚に至りそうなケースを発見し、阻止する取り組みを行うとともに、幼くして結婚した人への支援も行っています。さらに、教育を広め、少女たちが自身の問題を話し合い、保護者と話すことができる安全で保護的な空間を提供しています。また、コミュニティや宗教指導者も、児童婚への取り組みにそれぞれの役割を果たしています。

ユニセフとパートナー団体は、児童婚に至る恐れのある少女に職業訓練や心のケア、ライフ・スキルを提供、早くに結婚する以外の選択肢があることを伝え、少女たちを支援しています。

■参考情報:7月22日(火)開催 ガールズサミット@ロンドン

英国国際開発庁(DFID)とユニセフによる共催で、ガールズサミット(FGM/C(女性性器切除)と児童婚、強制される結婚からの解放を目指して)を開催します。政府代表や国際機関、民間セクター、少女自身が集い、児童婚やFGM/C根絶へ向けての取り組みを協議します。

■参考情報:世界の児童婚の状況 出典:ユニセフ『世界子供白書2014 統計編』

児童婚(18歳までに結婚)の割合が高い国上位10カ国は下記の通りです。

1.ニジェール 75%、2.チャド ならびに 中央アフリカ共和国 68%、4.バングラデシュ 65%、5.ギニア 63%、6.モザンビーク 56%、7.マリ 55%、8.ブルキナファソ 52%、9.南スーダン 52%、10.マラウイ 50%

■参考情報: 関連ニュース

アフリカで初、『児童婚を終わらせよう』キャンペーン 18歳未満で結婚させられる少女、アフリカで1,700万人 (2014年5月30日発 記事)