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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第124報
喫緊の支援が必要な子ども計650万人に
1年で200万人以上増加、ユニセフ活動資金不足に直面

【2014年7月5日 アンマン(ヨルダン)発】

イラク北部に避難しているシリア難民の女の子
© UNICEF/UKLA2014-04879/Schermbrucker
イラク北部に避難しているシリア難民の女の子。

4年目を迎えたシリア危機。国連が新たに発表したデータから、紛争による子どもたちへの影響が、今まで以上に壊滅的なものになっていることが明らかになりました。

人道支援が必要な子ども650万人

新たなデータは、地域を含むシリア危機への対応のための国連の資金要請の改定に伴って発表されました。これによると、シリア国内外にいる、シリアの子どもたち650万人が喫緊で人道支援を必要としています。わずか1年前と比べて、200万人以上も増加しています。

ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所代表のマリア・カリヴィスは「これらの数字から、この紛争がシリアの子どもたちの命に与えている計り知れない影響が明らかになりました。子どもたちは、戦闘で攻撃され、破壊された自宅や学校、保健センター、地域社会を毎日、目にしています。何百万もの夢や希望は、砕け散りました。世界はこの惨状から目をそむけてはいけません」と述べました。

シリアの子どもたちは、失ったものや恐怖を赤裸々に語ります。シリア北部のアレッポからトルコへ避難している、13歳のアラーくん*は、「爆撃から逃れるために村から避難しました。3時間かけて車で国境近くまで移動し、夜になってからトルコへ入国するために3時間歩きました。道中には、検問所がたくさんありました。銃を持っている人たちもいて、とても怖かったです」と、ユニセフのスタッフに語りました。

ユニセフ、生活に不可欠なサービスを支援

暴力によって避難は繰り返されており、ポリオやはしかを含む感染症、水や衛生、教育といった生活に不可欠なサービスの崩壊は明らかに増えています。ユニセフは、紛争で荒廃したシリアと周辺国でできる限り多くの子どもたちに支援を行えるよう、最善を尽くしています。

今年に入ってからもこれまでに、シリア国内での支援活動は、暴力やアクセスの制限の影響を大きく受けてきました。しかし、パートナー団体と共にユニセフは、シリア国内で、約1,700万人に安全な水を提供し、子どもたち290万人にポリオの予防接種を行ってきました。ポリオの予防接種は、シリアとイラクでのポリオ感染確認を受け、地域一帯で過去最大規模となる2,500万人を対象に実施されました。一方で、シリア国内で紛争の影響を直接受けている子どもたちに対し、ユニセフは学習用品を11万4,000人に提供し、3万4,000人の子どもたちに心のケアを行ってきました。

資金不足で支援活動継続の危機

しかし、ユニセフの活動資金は不足しており、このままでは子どもたちに必要な支援活動を脅かしかねない状況です。2014年末までに、シリアと周辺国での子どもたちの緊急支援活動の必要支援額に対し、4億8,700万米ドルが不足しています。

「これまで支援を寄せてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。しかし、新たな活動資金が得られなければ、イラクやレバノン、ヨルダンのシリア難民のための生活に欠かせない水と衛生分野への支援活動など、我々の支援活動は規模縮小や中には完全停止をせざるを得ない状況にあります」と述べ、活動資金の厳しい状況を訴えました。

*文中の名前は仮名です。