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シリア緊急募金 第118報
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© UNICEF/Syria-2014/Rashidi |
アレッポ市内にあるユニセフが支援する診療所で診察を受ける子ども。 |
2歳のモハマドくんの下痢と腹痛が、2日間続いています。まだ若い母親のイマンさん*は、アレッポ近郊のAl Masharqa地区にある、ユニセフが支援する診療所に、モハマドくんを連れて行きました。「息子は2日間、睡眠がとれていません。腹痛があまりにもひどく、一晩中寝付くことができませんでした」と、イマンさんが医者に話します。
反体制勢力が支配するアレッポ東部からたった2キロほどしか離れていない、Al Masharqa地区では、水が媒介する病気の発生が先週報告されました。
2014年6月2日、スライマーヌル・ハラビー(Sulieman Al Halabi)水処理施設が攻撃されました。アレッポの主要な水源が標的になったのは、過去1カ月弱で2回目のことです。この攻撃により、住民は長い列を並んで待たなくては水を手に入れることができなくなり、下痢で苦しむ子どもたちが増え続けるなど、住民に大きな影響を引き起こしました。そして、主要な上下水道管共に破壊され使用不可能になったことで、大規模な水の汚染も発生しています。
「もう既に、流行していると言っても過言ではありません」と、パートナー団体が運営する診療所の小児科医、ホッサム・シャアブ医師が話します。シャアブ医師は、診療所に訪れる一日50人の患者の半数は、水が媒介する病気にかかっていると語ります。
© UNICEF/Syria-2014/Rashidi |
アレッポ市内にあるユニセフが支援する診療所で診察を待つ子どもと母親。 |
ユニセフはAl Mahraqa地区近郊にある診療所を含め、6つの小児科診療所を支援し、1万7,000人以上の子どもたちに、命を守るための治療や医療物資を提供しています。
ラシャさん*は5歳の子どもを連れて診療所にやってきました。「子どもたちは水を見つけたら、汚れていても飲んでしまうのです。また、ペットボトル入りの水が常に手に入るという状況でもありません」
ユニセフは、避難を余儀なくされている住民が身を寄せるアレッポ大学内の診療所を支援しています。水が媒介する病気に感染し、その診療所で治療を受けている子どもたちのほとんどが、6カ月から5歳の子どもです。過去2週間は、毎日30件ほどのケースが報告されています。
地元テレビでは、汚濁・汚染水の使用を控えるように訴える公共CMが放送されています。しかし、自分たちの子どもたちが下痢や嘔吐、腹痛、熱などの症状を発症するまで、ほとんどの親がその深刻さを理解することはありません。
反体制勢力の支配下にあるアレッポ東部地域のアル・ファーダス(Al Ferdaus)でも、パートナー団体が診療所を運営しています。通常ならアレッポ市内から車で15分ほどの距離ですが、紛争下であることや、複数の検問所が設置されている状況により、医療関係者は13時間かかる迂回道を通らなくてはいけません。アル・ファーダスでは水が媒介する病気の症状が多発しています。
医師は、水が媒介する病気の症例の急増と、アレッポでの大規模な水質汚染に、関係性があるとみています。過酷な夏の暑さや劣悪な生活環境、人々の衛生に対する関心や認識の低さが、子どもたちをより胃腸関連の病気にかかりやすくしています。
アレッポにおけるこれらの病気の発生を食い止めるため、ユニセフは廃棄物処理に焦点をおいた、衛生習慣の啓発活動を支援しています。この活動は、新しい国連開発計画イニシアチブの一部です。ユニセフはまた、過去数週間にわたってポリタンク、貯水槽、発電機など、水と衛生に関する支援物資を備蓄しています。
ユニセフとパートナー団体は、シリアの14すべての県で消毒用の塩素を配布することで、1,650万人がきれいな水を利用できるように、支援を実施しています。この1,650万人の40%(660万人)は、たどり着くことが困難な地域で生活をしている住民です。また、ユニセフは貯水槽や発電機、衛生支援物資の提供や衛生習慣の啓発活動なども行っています。
*仮名です