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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第133報
水を汲む子どもたちの長い列
水の供給が40%まで減少、感染症拡大の危険も

【2014年8月6日 ドゥーマ(ダマスカス郊外)発】

列に並びながら、水を飲む男の子。(シリア)
© UNICEF Syria/2014/Khabieh
列に並びながら、水を飲む男の子。

「水を家まで運ぶより、並んでいる時間の方が苦痛です」7歳のアマニちゃんはオレンジ色の貯水容器を持って、水を汲むための長い列に並んでいます。

12歳になる、いとこのアーマッドくんが話をさえぎって、「ぼくが一番嫌なのは、アマニが僕よりも重い容器を軽々と運んでしまうときだよ」と笑って話し、アマニちゃんをからかいました。

シリアで続く紛争により、多くの地域で水へのアクセスが長期間失われ、何百万人もの人が安全な水を得ることが困難になっています。

水の供給が大幅に減少

ダマスカスから10キロほどの場所にある郊外の町、ドゥーマ(Douma)には、多くの国内避難民が身を寄せています。家族の飲み水を運ぶのは、子どもたちの役目です。

人口5万人ほどのこの町は、1年近く包囲されています。

ダマスカス郊外では、水の供給量が紛争前の約40%にまで減少しています。清潔な水を確保するため、何千人もの市民が地元のコミュニティ井戸を主な水源として利用するようになりました。

水の入った容器を家まで運ぶ子どもたち。(シリア)
© UNICEF Syria/2014/Khabieh
水の入った容器を家まで運ぶ子どもたち。

「安全な飲料水の供給が、大きな課題になっています。水を安全に飲めるように、消毒用の塩素と井戸から水を汲みあげるための発電機の提供を最優先にしてほしいと支援団体の方々に要請しています」と、Moadamiehの地方自治体職員、アブ・ハイサムさんが語りました。

2013年、ユニセフはパートナー団体と協力して塩素を提供しました。シリア全土で1,000万人の住民が安全な飲み水を手に入れることが可能になる量です。

「シリアの人々に清潔な水が行き渡るようにするための大きな課題は、辿り着くことが困難な地域が存在することです」と、ユニセフ・シリア事務所の水と衛生プログラムの責任者、アフメド・オウルド・シディー・オウルド・バハが語りました。

感染症拡大の恐れ

急激な夏の気温の上昇と大規模な清潔な水の供給不足で、特に子どもたちが、水が媒介する病気にかかる危険性が高まっています。

5人の子どもの母親のイルハムさんは、包囲されて1年が経つMoadamiehで暮らしています。3歳の娘は1カ月以上下痢で苦しんでいます。「娘は衰弱しています。でも、水を沸かすための燃料すらありません。娘のために、私は何もできないのです」(イルハムさん)

地域で活動する支援団体のコーディネートを行っている、東グータ(Eastern Ghouta)にある医療委員会のマジェド・アブ・アリ医師が、子どもたちの下痢の症例をまとめて文書化しています。

「何千もの子どもたちが下痢や腸の感染症にかかっているとの報告があります。原因はさまざまですが、包囲により、食糧や水、衛生的な環境が不足していることが悪化の一因です」

水汲みは子どもたちの“仕事”

水の容器を持って順番を待つ子どもたち。(シリア)
© UNICEF Syria/2014/Khabieh
水の容器を持って順番を待つ子どもたち。

水資源省によると、紛争で国中の水のインフラが崩壊しています。約半数の水と衛生システムが損壊しているか、十分な機能を果たすことができていません。

多くの場合、子どもたちは最寄りの給水所まで何キロも歩かなくてはいけません。しかし、紛争が続く中、自由に遊ぶことができない地域で生活する子どもたちのなかには、水汲みすら楽しみにしている子どもたちもいます。家を離れて友達と遊ぶ、楽しい時間に変えているのです。

「近所の友達を待って、いっしょに歩いて家まで帰ります。道の途中で大切な水を無駄にしないように気を付けて、友達と遊びながら水を運んでいます」と、8歳のワファちゃんが話します。

「水を汲みに行くのを楽しみにしています。お母さんは、私のことを“雨雲ちゃん”と呼ぶようになりました。家に水を運んでくるからです。私はこのニックネームが大好きです」と、ワファちゃんが笑顔で語りました。

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