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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第116報
子どもの権利条約25周年
障がいのある子どもに、避難先でも教育の機会を

【2014年5月19日 トルコ発】

人道支援団体のスタッフと遊ぶノアちゃん(11)
© UNICEF/NYHQ2014-0465/Yurtsever
人道支援団体のスタッフと遊ぶノアちゃん(11)

トルコのイスラーヒエ難民キャンプには、国境を越えて避難してきた多くのシリア難民が身を寄せています。ダウン症候群のあるノアちゃん(11歳)も、そのうちの1人。この難民キャンプで家族と一緒に暮らしています。人道支援団体のスタッフとゲームをして遊んでいます。

ノアちゃん一家がトルコに避難してきたのは3年以上前、シリアで紛争が勃発してすぐのことでした。シリアにいる時は、ダウン症の子どものための特別支援学校に通い、読み書きを習っていました。しかし、難民キャンプでは特別な支援が必要な子どもたちのための学習施設がないため、現在は学校に通うことができません。

しかし、困難な状況に置かれても、ノアちゃんが将来の大きな夢に思いを巡らせない日はありません。「私は一生懸命勉強するし、賢いのよ」と、ノアちゃんが得意げに話します。将来は、医者になりたいと思っています。

25年前の1989年11月、「子どもの権利条約」が採択されました。すべての子どもたちが健やかに成長し、学び、自由に意見を表現し、子どもたちが自分の可能性を最大限に広げることができるよう、子どもの権利を守り、推進していくことが約束されたのです。この条約では、子どもらしい生活を送る権利は、限られた人々の特権ではなく、世界のすべての子どもがもつ権利であると明記されています。

25年前と比べると、乳幼児死亡率の低下や就学率の向上など、子どもたちが置かれている状況には、ある程度の改善もみられます。しかし、貧困や虐待、ネグレクトなど、子どもたちの基本的な権利を侵害する課題は、依然として残っています。ノアちゃんのように紛争で避難生活を強いられている子どもたちは、適切な住居、水やトイレなどの基本的な生活設備も十分に整わない環境で暮らし、教育や感染症予防などの最も基本的なサービスも、享受できていません。

ノアちゃんはイスラーヒエ難民キャンプに設置されている、ユニセフ「子どもにやさしい空間」のアクティビティ活動に参加しています。「子どもにやさしい空間」は、緊急事態下に身を置く子どもや女性が、片時でも「普段の日常」を感じることができるように、そして紛争の影響や心の傷をのりこえることができるように、安全で守られた環境を提供しています。しかし、これは一時的な解決方法にしか過ぎません。各国政府、市民社会、そして国民の一人ひとりが一致団結して初めて、ノアちゃんのような子どもたちの権利が満たされ、いつの日か子どもたちが自分の夢をその手に掴むことができるのです。