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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第96報
シリア難民を襲う”静かな脅威”
ユニセフ、栄養状態調査をレバノン全土で実施

【2014年2月25日 ベイルート発】

© UNICEF Lebanon/2013/JoeSaade

ユニセフはパートナーと共に、レバノンに避難しているシリア難民に対する栄養状態の調査結果を明らかにし、栄養不良を“静かに忍び寄る脅威”として警鐘を鳴らしています。今調査はユニセフが主体となり、レバノンの公衆保健省やUNHCR、WHO、WFP、IOCCの協力の下、2013年10月から11月にかけて行われました。

子ども2,000人が命の危機に

ユニセフ・レバノン事務所のアンナマリア・ラウリニ代表は、「ユニセフとパートナーは、レバノンに身を寄せているシリア難民の栄養状態の悪化を懸念しています。」と話します。「レバノンに避難している難民にとって、新たに生じている静かな脅威が、栄養不良です。その要因となっているのは、不衛生な環境や安全でない飲み水、疾病、予防接種の欠如、そして幼児への不適切な食事の与え方です」

ベッカー高原やレバノン北部では、重度の急性栄養不良に陥る子どもたちが、2013年は前年比でほぼ倍増しました。 レバノン国内全土では、およそ2,000人の5歳未満のシリア難民の子どもたちが、命の危機にさらされており、生き延びるために緊急の治療を必要としています。また、重度の急性栄養不良状態に陥っている子どもたちの半数以上は、ベッカー高原やレバノン東部で避難生活を送っており、そのほとんどの仮設避難所において、安全な水や衛生的な環境を手に入れることは非常に困難です。

求められる緊急支援

レバノンに身を寄せているシリア難民の栄養状態は、急速に悪化する可能性があります。悪化する要因としては、食糧価格の高騰や食料確保の不安定さ、そして、新たに国境を越えてレバノンに避難し、より劣悪な環境での生活を余儀なくされる難民の増加などがあります。

「テント式避難所で困難な生活をおくる5歳未満の子どもたちは、特に栄養不良に陥るリスクが高まります」とユニセフ・レバノン事務所のゼロウアル・アゼディン保健栄養担当チーフは話します。「ユニセフは公衆保健省や他の関係者とともに、緊急支援を行っています。しかし、特にベッカー高原やレバノン北部においては、急性栄養不良に関する対応向上のため、より多くの取り組みが必要とされています」

報告書の中の提言では、能力構築や保健員の動員、状況のモニタリング、栄養不良の子どもの発見、治療支援、そして子どもや女性が栄養不良に陥らないための予防をするには、公衆衛生省や他のパートナーとの協力が重要になる、と強調されています。その提言の中には、子どもと女性に対する栄養状態のチェックや、サプリメントや治療用食事プログラムを通した栄養不良の治療、乳幼児向けの適切な食事への関心を高めることが、微量栄養素欠乏の予防とともに、言及されています。

2013年は、レバノン国内で暮らす5歳未満のシリア難民の子どもと15歳から49歳の女性を対象に、栄養状態の調査が実施されました。また、貧血症の予防や乳幼児向けの食事、下痢や咳、熱に関する子どもたちの疾病率について、保健サービス、安全な水、衛生施設へのアクセス状況と共に、調査が実施されました。

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