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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第102報
支援を妨げていた、国境のフェンス1枚
トルコからシリアへ支援物資を初輸送

【2014年3月22日 トルコ・ヌサイビン発】

シリアに向かう支援物資を積んだトラック
© UNICEF/NYHQ2014-0312/Feyzioglu
国境のあるトルコのヌサイビンからシリアのカーミシュリーに向けて支援物資を積んだトラックが進む。

2011年3月15日に勃発したシリア危機から、3年が経ちました。紛争下ので支援を必要とするシリア国内外の子どもは550万人を超えました。特にシリア国内で紛争が激しい地域では、100万人もの子どもが包囲によって身動きが取れず、戦闘が続いているために、人道支援を届けるのが極めて困難になっています。ユニセフのジュリエット・トウマ広報官からのレポートです。

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トルコ南東部の国境の町マルディンまで、長い道のりでした。いつもは活気のないその小さな国境の町は、数日間大きな注目を浴びていました。

シリアの紛争が勃発して以来初めて、トルコの国境地点を通してシリアへ人道支援が届けられることになったのです。

シリアに向け、小さな金属ゲートを通って進むユニセフの物資輸送トラック。
© UNICEF/NYHQ2014-0314/ Kamuran Feyzioglu
シリアに向け、小さな金属ゲートを通って進むユニセフの物資輸送トラック。ユニセフは3月22日、水と衛生キットや毛布などの支援物資を5台のトラックで輸送した。

私たちは車で国境を訪れ、ユニセフの支援活動を影で支え、重要な役割を担うスタッフに会いました。数日間その地で仕事にあたっている彼らは、17台の大きなトラックに物資を忙しく積み込んでいました。そのうちの5台に、ユニセフの物資が積まれています。タオル、シャンプー、生理用ナプキン、赤ちゃん用の発疹クリーム、歯磨き粉、ハブラシ、石鹸、水を汲むためのバケツ、粉末洗剤など、日用必需品の入った箱がトラックいっぱいに積み込まれました。

トラックはシリア北東部のカーミシュリーに向かい、人道支援を緊急に必要としている2万5,000人の子どもたちに支援が届けられます。

私たちが到着してから数時間後、シリア当局から入国許可が下り、ユニセフの支援物資を積んだトラックが小さな金属ゲートを通り抜けました。未舗装の道路が青々と茂る野原を横切り、その上をトラックがゆっくりと進みます。トラックの後をついて歩きながら、この支援物資を切実に待っている住民も、紛争前にはこの美しい景色の中ピクニックをしていたのだろうかと思うと、胸がつまる思いでした。

国境に備え付けられたフェンス越しに話をするシリアとトルコ両国のユニセフ職員。
© UNICEF/2014/Kamuran Feyzioglu
支援物資の輸送にあたり、シリアとトルコ両国のユニセフ職員が国境に備え付けられたフェンス越しに話をする。

シリアの子どもたちへの必要な支援を妨げていたのは、シリアとトルコの国境に設置されている、たった1枚のフェンスでした。人道支援は、もっとシンプルであるべきです。シリアの子どもたちは、更なる支援物資を必要としています。そして、私たちが長い間立ち入ることすらできなかった地域への交通アクセスも、確保されなくてはいけません。約100万人の子どもたちが、包囲された地域、もしくはたどり着くのが困難な地域で生活しています。このような子どもたちは既に、あまりにも多くの苦しみを味わってきました。私たちは、彼らのもとに支援を届けなくてはいけないのです。

ユニセフは近日中に、トルコからシリアに17台分の支援物資をさらに輸送する予定です。

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