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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第103報
イラクでポリオ感染確認、14年ぶり
周辺国も含めた2,000万人へ予防接種開始

【2014年4月6日 アンマン発】

予防接種を受ける女の子。
© UNICEF /2014
シリア・イラク・エジプトでポリオ予防接種キャンペーンを開始。予防接種を受ける女の子。

4月6日より、シリア、イラク、エジプトでポリオ予防接種キャンペーンが開始、今後5日間で2,000万人を対象に行われます。

イラクでは、保健省が先月30日にバグダッド北部のルサファ(Al-Rusafa)で生後6カ月の赤ちゃんのポリオ感染を確認して以降、初の全国規模での予防接種活動です。

シリア国外への感染拡大のリスクも

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のマリア・カリビスは「イラクで14年ぶりにポリオ感染が確認されました。この地域全体の子どもたちがポリオ感染のリスクにあることを示しています。すべての子どもたちが定期的に複数回、予防接種を受けられるようにし、これまでに予防接種を行えなかった子どもたちが予防接種を受けられるようにあらゆる手を尽くす必要があります。これ以上の感染拡大を防ぐには、この方法しかありません」と述べました。

2013年10月に発表されたポリオへの包括的な対応の一環として、予防接種活動が実施されています。シリアで確認されたポリオウイルスは、パキスタン発の野生株のものです。シリア国外への感染拡大のリスクが高まる中、中東地域の7カ国は、地元のNGOや市民社会、国連機関などの支援を受け、2,200万人の子どもたちを対象に、複数回に及ぶポリオ予防接種活動の努力を重ねてきました。2013年10月以降、同地域では、シリアでの5回、イラクでの6回を含む計25回の予防接種が行われています。

各回では予防接種を受けた子どもの数は増加しています。しかし、シリアから逃れ、避難場所を求めて移動している子どもたちや紛争下に暮らす子どもたちといった厳しい環境に置かれている子どもたちは特に、予防接種を受けられていません。

最も到達困難な子どものためにも、予防接種を実施

WHOのポリオ根絶・緊急支援マネージャーのクリス・マハー氏は「ポリオ発生対応計画で、この地域で子どもたちの大多数に予防接種を行えています。第2期対応計画では、最も到達困難な子どもたち、つまり見過ごされ続けている子どもたちが予防接種を受けられるよう、現地のパートナーと共に活動しなければなりません。シリアでは、特に包囲下や紛争地域にある子どもたち、イラクでは僻地に暮らす子どもたちといった到達困難な子どもたちが予防接種を受けられるまで、予防接種し続ける必要があるのです」と述べました。

レバノンでは10日から、トルコでは18日から予防接種キャンペーンが開始します。

ポリオ感染が発表されて以降、ユニセフはシリアに1,400万ダースのポリオワクチンを届けています。

■参考情報:シリア27名の麻痺を確認、イラクでは1名

2014年3月末現在、シリアでは子ども27人がポリオによる麻痺を発症しています。内訳は以下の通りです。東部デリゾール県18人、西部ホムス県4名、北部イドリブ県2名、北部ハサケ県2名、西部ハマ県1名。シリアでは、1999年以降、ポリオ感染は確認されていませんでした。ポリオ感染が地域内外に広がる危険性は高まっており、21カ国の保健省は、公衆衛生の緊急事態にあると発表しています。地域では、今後もポリオ予防活動が繰り返し行われます。シリアでは、少なくとも2014年5月までは、毎月実施される予定です。

2014年3月30日、イラク保健省は首都バグダットのルサファ(Al-Rusafa)でポリオ感染1件を確認したと発表しています。

今回のポリオウイルスはパキスタン発であり、遺伝子学的に同じタイプのウイルスが、2012年12月にはエジプトの下水のサンプルで、2013年にはイスラエル、ヨルダン川西岸、ガザ地区でも確認されています。

シリアでは2011年の内戦勃発以降、暴力と各地へのアクセスが困難になったことから、予防接種活動は著しく制約されてきました。ワクチンを一定温度に保って移送するのに必要な設備や資材(通称コールドチェーン)は、国内各地で使えなくなり、移動保健チームは定期的に町や村への訪問ができなくなりました。この結果、シリア国内では50万〜70万人の子どもたちが予防接種を受けられずにいます。

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