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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第104報
オーランド・ブルーム ユニセフ親善大使
ヨルダンで暮らすシリア難民の子どもたちを訪問
「最も恐ろしいのは、子どもたちが“失われた世代”になること」

【2014年4月12日 ニューヨーク、アンマン発】

授業を視察するブルーム大使
© UNICEF/NYHQ2014-0437/Diffidenti
2014年4月9日にイルビドの学校を訪問。6年生の英語の授業を視察した。

ユニセフ親善大使のオーランド・ブルーム氏が先週ヨルダンを訪問し、シリア難民の人々の苦境に耳を傾け、ユニセフが支援する学校で子どもたちと交流しました。シリアの紛争は4年目に突入しています。

受けた苦痛が、憎しみに変わらないように

オーランド・ブルーム親善大使は、10日にシリア国境近くのザータリ難民キャンプを訪問し、「子どもが目にするべきべきでない残虐な暴力を、この子どもたちは目撃しています。最も恐ろしいのは、子どもたちが“失われた世代”になってしまうことです。緊急に必要とされている教育や保護、それに心のケアの支援を今この時に提供できなければ、子どもたちが受けている苦痛が、やがては敵意や憎しみに変わってしまうかもしれません」と語りました。

困窮するシリア難民

英国人俳優のブルーム親善大使は、8日にヨルダンに到着。翌日、北西部のイルビドで、2年前に北部アレッポから避難してきた家族を訪問しました。ヨルダンや他の近隣国に逃れた多くの人々と同じく、この家族のわずかな貯蓄は底をつき、生活の厳しさは増すばかりです。

ユニセフ教育専門官と避難民の女性と話をするブルーム大使
© UNICEF/NYHQ2014-0440/Diffidenti
2014年4月10日にザータリ難民キャンプを訪れ、ユニセフ教育専門官や難民キャンプに身を寄せる住民と面会。

「シリア難民の人々も、以前は私たちと同じように暮らしていました。両親は仕事をし、子どもたちは学校に通うことも、遊ぶこともできました。しかし、紛争により人々の生活は崩壊し、自宅からの避難を強いられ、希望を持つこともできない不安定な状況下で生活を送っています。敬意も尊厳もない生活をしたい人なんていません。住民はただ、自分たちの人生や子どもたちのための未来を、取り戻したいだけなのです」(ブルーム親善大使)

日常生活を取り戻す場所を

ブルーム大使はザータリで、ユニセフが支援する学校を訪問しました。この学校では、日常とは程遠い状況下での生活を強いられている子どもたちが、正常感を取り戻すための支援を行っています。10万人以上の避難民が身を寄せるここザータリ難民キャンプは、世界最大規模の難民キャンプです。人々は焼けつくような暑さの夏も、凍えるような寒さの冬も、この厳しい環境の砂漠地域で、テントや小さなトレーラー・ハウスで暮らしています。

ユニセフやパートナー団体は、ワクチンや医療、教育、きれいな水、子どもたちが遊ぶことのできる安全な場所などを提供し、命を守る支援を行っています。しかし、実施可能な支援をはるかに上回るニーズが発生しており、ユニセフはこの世界最大規模の人道危機に対応するため、追加の資金援助を国際社会に要請しています。

130万人の子どもたちが難民に

3年前にシリアで紛争が勃発して以来、合計約560万人の子どもたちが深刻な影響を受けています。ユニセフは暴力、保健や教育のサービスの崩壊、重度の精神的苦痛、家計にかかる経済的負担が相まって子どもたちの世代を失わせる要因になっており、シリア国内や、周辺国で難民として生活する子どもたちの未来が非常に不安定な状況にさらされている、と警鐘を鳴らしています。

12歳の男の子と話をするブルーム大使
© UNICEF/NYHQ2014-0433/Diffidenti
2014年4月9日にヨルダン・イルビドを訪問。イルビドで12歳の男の子と話をするブルーム大使。

現在130万人のシリアの子どもたちが、シリア周辺国で難民として生活をしています。難民を受け入れているホストコミュニティはその数に圧迫され、きれいな水、栄養、教育機会へのアクセスが限られています。

ユニセフはシリアで起こっている暴力の連鎖を終わらせるだけでなく、紛争の影響を受けている子どもたちの安全確保と、教育機会の提供、心のケア支援を通して、子どもたちの精神的な傷を癒すための支援を求めています。

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オーランド・ブルーム大使はロード・オブ・ザ・リングやパイレーツ・オブ・カリビアンなどの大ヒット映画に出演し、2009年10月、ユニセフ親善大使に任命されました。大使に就任する以前にも、質の良い教育やきれいな水へのアクセスなど、子どもが本来持っている権利を訴えるため、ネパールのユニセフが支援する学校を訪問しました。2012年には南アフリカのケープタウンで子どもや若者を訪問し、子どもたちの生活を視察。放課後にレクレーション活動に参加したり、遊んだりすることができる、安全な場所の重要性を伝えました。

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