東日本大震災緊急募金 第68報
世界の子どもたちを支えてきた子どもたち
【2011年6月2日 盛岡発】
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© 日本ユニセフ協会 |
長内中学校生徒会長の石崎君と副会長の小倉君。「大切に使わせていただきます」と石崎君。翌日から中間試験ということで、校長先生から「これでしっかり勉強できるね」と声をかけられちょっと困った笑顔をみせていました。 |
日本ユニセフ協会は、震災直後から、飲料水等の必須支援物資の提供に加え、子どもたちが一日でも早く日常の感覚を取り戻せるよう、学校再開のための支援として、「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)」キャンペーンを展開してきました。5月25日、本キャンペーン第1弾の最後となる追加の支援物資が、岩手県久慈市立長内小・中学両校に届けられました。
今回支援物資を届けた日本ユニセフ協会の原田唯は、「先生方は、ほかの学校の先生から話をきいて『うちの学校にはこないのかしら?』と思っていらっしゃったそうです。『ほかの地域に比べれば、被災の状況は軽いのですが、今までの支援物資というと一部の子どもたち(自宅が全壊してしまった子どもたちなど)に限られていたのですが(ユニセフの文房具セットは)全校生徒にいただけるということで、子どもたちも喜んでいます』と、おっしゃっていました」と、伝えてきています。
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© 日本ユニセフ協会 |
ユニセフの文房具セットを受け取った長内小学校の子どもたち。 |
今回届けられた文房具セットは、長内中学校の全校生徒293名分と長内小学校の全校児童272名分。日本ユニセフ協会のスタッフから、ユニセフの袋に入ったセットを受け取った長内中学校生徒会長の石崎君と副会長の小倉君は、「世界中のみなさんからのご厚意を忘れずに、大切に使わせていただきます」と、全校生徒を代表して感謝の言葉をくださいました。また、長内小学校では、全校児童・生徒を代表して3年生の子どもたちが文房具のセットを受領。「全校生徒を代表してお礼をしましょう」という担任の先生の言葉にあわせ、3年のみなさんの「ありがとうございます!」が校内に響き渡りました。
「ユニセフのことをみんなが知っていました。」「色々な場所で、『ユニセフから文房具をもらった』と声をかけられます。ボランティアさんの大変なご協力が形になって、こうして子どもたちに届けられて嬉しく思います」(原田)。キャンペーン第一弾を開始した当初から、県内被災地の学校にこの文房具セットを届けてくださっている岩手県教職員組合九戸支部の佐々木幸男さんは、「連日の積み下ろし作業は大変ですが、少しでも子どもたちが喜んでくれれば嬉しいです」と笑顔で語ります。
個別梱包された文具セット
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© 日本ユニセフ協会 |
文房具等のユニセフの支援物資の配布にご尽力くださっている岩手教職員組合九戸支部の佐々木さん(写真左)から、支援物資を受け取る長内中学校の後忠美校長先生。 |
「バック・トゥ・スクール」キャンペーンは、佐々木さんはじめ、多くの方々のご協力なくしては実現できませんでした。3月末、岡山で準備された岩手県の被災地の小中学生約16,000人分の文房具セット。その作業には、岡山、広島、香川、愛媛各県のユニセフ協会から、のべ105人のボランティアさんたちが応援で駆けつけてくださいました。こうして梱包された学用品セットは、岩手県の全ての学校に届けるべく支援活動が続けられてきました。
「多くの支援物資は、ノートならノートだけが段ボールでどどーんと届き、(学校では)仕分け作業ができず、そのまま山積みになっているケースも多々あるとのこと。」「バック・トゥ・スクールの文房具セットは、そのまま配布できるのでとても便利と好評です。多くの学校からそうした声があがっています。」(原田)
ユニセフバッグに入った文房具セットを受け取った子どもたちやお母さんからも、お礼のメールやお手紙が届いています(岩手県ユニセフ協会HPより)
「先日娘が嬉しそうに見慣れない手提げカバンを持って帰宅しました。中身は学用品。カバンにはユニセフと記載してありました。私は震災で車が流され会社も復旧の見込みがないとの事で解雇になったばかり・・・・。母子家庭なので私の収入が無くなった今、新学期を迎えた娘に満足なものも買ってあげられずにいました。文房具をいただけるとは思ってもいなかったので涙がでました。家も無事、家族も無事、避難所に居るわけではない私にとっては、初めていただく救援物資でした。ありがとうございました。」
「3月11日の地震と津波で、学校の1階そして、今まで楽しく暮らしていたお家や車、お父さんの仕事場も流されました。お父さんの仕事の都合で内陸の学校に転校しました。前の学校の先生やお友達とお別れするのがとても悲しかったけど、だんだん新しい学校にもなれてきて、今は楽しく学校へ行っています。ユニセフからいただいた学用品を大切に使って勉強をもっとがんばります。そして将来、人の役に立つようなお仕事がしたいです。私たちを遠くから見守ってくださって、ありがとうございます。どんなときも、負けないで、がんばっていきます。ありがとうございました。(小学校6年生)」
世界の子どもたちを支えてきた子どもたち
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© 日本ユニセフ協会 |
宮城県の女川第2小学校の廊下には、去年子どもたちが集めた「ユニセフ・パキスタン緊急募金」の募金額を報告する手書きのポスターが貼られていた。長年ユニセフを通じて世界の子どもたちを支えてくれた子どもたちに、バック・トゥ・スクールを通じて、世界中の善意が届けられた。 |
今回、最後の文具セットが届けられた長内小学校は、20年あまりにわたってユニセフ募金にご協力くださっている学校です。今回被災した他の学校の多くも、長内小学校のように、長年ユニセフの活動を応援してくださっていた学校でした。また、東京のユニセフハウスへも、毎年沢山の子どもたちが見学に訪れていました。
震災後、ユニセフハウスを救援物資の仕分け場所として使っていたため休館させていただいた、世界で唯一ユニセフの"現場"を再現した常設展示コーナーには、既に多くの子どもたちが見学に来てくださっています。被災地の子どもたちからの見学のお申込も頂いております(世界で唯一、ユニセフの"現場"を再現したユニセフハウスのご見学=ボランティアさんによるガイドツアーへのお申込はこちらから)。
日本ユニセフ協会は、現在、被災各県の教育委員会や学校などと協力して、体操着やリコーダー、裁縫セットなどの学用品を、被災した子どもたちの個々のニーズに合わせて提供する「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)」キャンペーンの第2弾の準備を進めています。
現在の支援物資到着状況
支援先 (県別) |
支援物資 |
到着日 |
数量 |
寄贈企業 |
備考 |
宮城 |
水 |
3月19日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
福島 |
水 |
3月22日 |
12,672本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
男児・女児用下着 |
3月22日 |
20万枚 |
|
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月23日 |
3万枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月23日 |
4,680本 |
キリンMCダノンウォーターズ(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
子ども用靴 |
3月23日 |
10,000足 |
|
|
宮城 |
子ども用おむつ |
3月24日 |
80パック |
P&G |
|
岩手 |
子ども用下着 |
3月24日 |
9,700枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月24日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
岩手 |
靴 |
3月26日 |
1,404足 |
アキレス(株) |
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月27日 |
28,266枚 |
|
|
岩手 |
長靴 |
3月27日 |
7,462足 |
|
|
岩手 |
お尻ふき |
3月28日 |
1,200個 |
P&G |
赤ちゃん用 |
宮城 |
レクリエーションキット 「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
レクリエーションキット 「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
ランドセル |
4月6日 |
70個 |
日本ニューバッグチェーン |
|
岩手 |
ランドセル |
4月6日 -7日 |
340個 |
セイバン |
|
宮城 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
岩手 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
宮城 |
軽自動車 |
4月8日 |
3台 |
|
|
宮城 |
サプリメント |
4月上旬〜 |
4,000ボトル |
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|
福島 |
水 |
4月11日 |
1,536本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
レクリエーションキット 補充素材 |
4月12日 |
60セット |
|
|
宮城 |
ミニカー |
4月12日 |
約1,200 |
タカラトミー |
|
相模原* |
水 |
4月12日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
プレイマット |
4月13日 |
2種 各80枚 |
IKEA |
|
宮城 |
お絵かきセット |
4月13日 |
60セット |
IKEA |
|
岩手 |
保育園用いす・テーブル・座卓 |
4月14日 |
いす75脚・テーブル11台・座卓9台 |
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被災した各幼・小・中・高と移転先へ |
宮城 |
原付バイク |
4月15日 |
5台 |
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|
岩手 |
小・中学生用ノート・文具セット |
4月15日 |
(16,700セット) |
|
|
宮城 |
PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) |
4月18〜21日 |
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|
各幼・小・中・高と移転先へ |
福島 |
移動式黒板 |
4月21日 |
10台 |
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|
福島 |
仮設トイレ |
4月22日 |
20基 |
|
|
福島 |
放射能量測定器 |
4月28日 |
14台 |
|
相馬市各学校へ |
岩手 |
更衣室・授乳用仕切りシステム |
4月29日 |
21セット |
|
|
埼玉* |
牛乳 |
4月末〜 |
|
|
加須市双葉町避難所 |
埼玉* |
ヨーグルト |
5月初旬〜 |
|
ダノンジャパン(株) |
加須市双葉町避難所 |
岩手 |
クーピー(120セット)/絵の具(240セット) |
5月13日 |
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岩手 |
卓上電気スタンド |
5月14日 |
15台 |
|
|
岩手 |
文具セット |
5月16日 |
840セット |
|
|
福島 |
ロッカー |
5月16日 |
22セット |
|
南相馬市教育委員会へ |
福島 |
PC |
5月16日 |
1台 |
|
石川町教育委員会 |
ちっちゃな図書館送付状況:約11万冊が350箇所以上に発送済み。(5月16日現在)
福島「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトの参加児童数(予定含む):約5600名(5月26日現在)
*被災者受け入れ場所
※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。
2011年5月16日午前9時現在 (広報室まとめ)