東日本大震災緊急募金 第95報
潘基文 国連事務総長 福島県内の高校生と対話
【2011年8月8日 東京発】
8月7日(日)から来日している潘基文国連事務総長が、8日(月)午前、福島県の高校生との対話集会に参加。潘事務総長の来日の機会を通じ、様々な困難に直面している福島の子どもたちの声を世界に発信できる機会をとの思いから企画された本イベントは、福島県内の高校のブラスバンド部による演奏で華やかに始まりました。
始めに、潘事務総長は、「甲子園での福島代表第一回戦通過、なでしこジャパンのワールドカップ優勝おめでとうございます。同じアジア人として、誇りに思います。東日本大震災は、非常に大きな災害をもたらしました。しかし世界が、国連が、応援しています。日本はかならずこの苦難を乗りこえられます。ガンバロウ、福島!」と、被災地の子どもたちを激励しました。
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福島県の高校生を代表して潘基文国連事務総長に話す尾久 千夏さん。 |
次に、福島県の被災地の高校生を代表して、福島南高等学校の尾久 千夏さんが、「私たちは今、英知を結集して問題の解決策を探り、日々の生活で最大限の努力を続けています。福島の問題は、もはや福島だけの問題ではありません。私たちの再生への努力が、未来の世界にもたらす影響は大きいでしょう。本日の潘基文国連事務総長の訪問に感謝しますとともに、私たちが直面しているこの難局からの脱却に国連も支援して下さることを望みます」と、世界へ向けて支援を訴えました。
また、同じく県内の高校生を代表して、双葉高等学校の渡邉 美波さんが、震災発生から現在までの複雑な心境を次のように話しました。
「3月11日、14時46分。私はこの時間が来るまで何も深くは考えずに目の前にある課題を一つ一つこなしていくだけでした。特に大きな問題もなく、平穏な日々を送っていました。しかし、震災に遭って原発事故のため家に帰れなくなりました。私の家は福島原発から10kmのところにあるのです。とてもつらい日々を送るようになってしまいました。毎日毎日、両親に聞くことは『いつ帰れるの?』になってしまいました。
避難生活があっという間に経ち、1か月になる時、だんだんと焦りが出てきました。自分がこうしている間にもほかの学生は普通に勉強しているのに、自分は学校にも通えず、勉強道具すらあまりない状況で、どんどん遅れて行ってしまうのではないかというものです。5月9日からサテライトという形で双葉高校生として通えるようになったことにはとても感謝しています。そのおかげで少しだけでも震災前のような生活を送れています。勉強も先生方のおかげで、元のような丁寧な授業を受けることができています。
多くの人の協力と応援があったからだということを、私たちは一生忘れません。自分がまさか被災者になる日が来るなんて、まったく想像もつきませんでした。そしてこのような状況で自分にとって何が正しい道なのかさっぱり分からなくなりました。
しかし被災してわかったことがあります。普通に生活したり、普通に学校に行って友達と一緒に授業を受けたりすること、人は普通に生きていくことが一番の幸せだということです。また、将来のことも真剣に考えることができました。今、このようなことにやっと気づいたのです。世界中の人々が私たちの希望のない未来を切り開いてくれたことを幸せに思います。
もしかしたら17年間住み慣れた自分の家へ帰れないかもしれない。3月11日にいつも通り『また明日ね』と言ったままの友達にももう会えないかもしれない。しかしどこにいても友達だということ、双葉高校生であるということはずっとずっと変わらないことを信じていきます。今はまだ完璧に前を向いて歩こうということはできませんが、自分が辛くて泣いた日々を糧にして、どんな逆境にも負けない強い人間になりたいです。」
この二人の高校生代表のスピーチに対し、潘事務総長は、「皆さんの話を伺って、とても感銘を受けています。皆さんが受けられた苦労を共にできていたらと思います」と、話しました。会場に集まった県内の高校生約100名も感動した様子でスピーチに聞き入っていました。
また、その後の質疑応答で、福島南高校の生徒から「事務総長として、将来を担う若者である自分たち高校生に求めることは何か」との質問を受けた潘事務総長は、「国連は、世界のなかで最も厳しい状況にある地域の人々のためにがんばらなければなりません。日本は今大きな苦難に接していますが、皆さんは世界でも最も恵まれた国の一つに生まれたのです。世界にはとても多くの人たちが基本的な人権が守られていない状況があります。今日この会場にもいらっしゃっているユニセフをはじめ、多くの機関が、様々な災害で苦しんでいる人々の救援にあたっています。今、アフリカの角でたった2ヵ月の間に3万人もの子どもの命が失われています。みなさんには、未来を担うリーダーとして、視野を広げ国連と一緒になにができるのか考えて欲しいと思います」と、子どもたちにメッセージを送りました。
本イベント終了後、代表してスピーチを行った尾久さんと渡邊さんに感想を伺うと、「勇気付けられました。世界には私たちより最も厳しい状況にある人がたくさんいて、私たちももっと勉強して、もっと世界に目をむけて、何かできるようにしたい」と、力強く話してくれました。
日本ユニセフ協会は、のびのびと遊び、学べる環境を提供する「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトを始め、いまも困難に立ち向かっている福島県の子どもたちへの支援を継続していきます。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会
現在の支援物資到着状況
支援先
(県別) |
支援物資 |
到着日 |
数量 |
寄贈企業 |
備考 |
宮城 |
水 |
3月19日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
福島 |
水 |
3月22日 |
12,672本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
男児・女児用下着 |
3月22日 |
20万枚 |
|
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月23日 |
3万枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月23日 |
4,680本 |
キリンMCダノンウォーターズ(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
子ども用靴 |
3月23日 |
10,000足 |
|
|
宮城 |
子ども用おむつ |
3月24日 |
80パック |
P&G |
|
岩手 |
子ども用下着 |
3月24日 |
9,700枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月24日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
岩手 |
靴 |
3月26日 |
1,404足 |
アキレス(株) |
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月27日 |
28,266枚 |
|
|
岩手 |
長靴 |
3月27日 |
7,462足 |
|
|
岩手 |
お尻ふき |
3月28日 |
1,200個 |
P&G |
赤ちゃん用 |
宮城 |
レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
ランドセル |
4月6日 |
70個 |
日本ニューバッグチェーン |
|
岩手 |
ランドセル |
4月6日
-7日 |
340個 |
セイバン |
|
宮城 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
岩手 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
宮城 |
軽自動車 |
4月8日 |
3台 |
|
|
宮城 |
サプリメント |
4月上旬〜 |
4,000ボトル |
|
|
福島 |
水 |
4月11日 |
1,536本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
レクリエーションキット
補充素材 |
4月12日 |
60セット |
|
|
宮城 |
ミニカー |
4月12日 |
約1,200 |
タカラトミー |
|
相模原* |
水 |
4月12日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
プレイマット |
4月13日 |
2種
各80枚 |
IKEA |
|
宮城 |
お絵かきセット |
4月13日 |
60セット |
IKEA |
|
岩手 |
保育園用いす・テーブル・座卓 |
4月14日 |
いす75脚・テーブル11台・座卓9台 |
|
被災した各幼・小・中・高と移転先へ |
宮城 |
原付バイク |
4月15日 |
5台 |
|
|
岩手 |
小・中学生用ノート・文具セット |
4月15日 |
(16,700セット) |
|
|
福島 |
ノート・文具セット |
4月16日 |
390セット |
|
|
宮城 |
PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) |
4月18〜21日 |
|
|
各幼・小・中・高と移転先へ |
福島 |
移動式黒板 |
4月21日 |
10台 |
|
|
福島 |
仮設トイレ |
4月22日 |
20基 |
|
|
福島 |
放射能量測定器 |
4月28日 |
14台 |
|
相馬市各学校へ |
岩手 |
更衣室・授乳用仕切りシステム |
4月29日 |
21セット |
|
|
埼玉* |
牛乳 |
4月末〜 |
|
|
加須市双葉町避難所 |
埼玉* |
ヨーグルト |
5月初旬〜 |
|
ダノンジャパン(株) |
加須市双葉町避難所 |
岩手 |
クーピー(120セット)/絵の具(240セット) |
5月13日 |
|
|
|
岩手 |
卓上電気スタンド |
5月14日 |
15台 |
|
|
岩手 |
文具セット |
5月16日 |
840セット |
|
|
福島 |
ロッカー |
5月16日 |
22セット |
|
南相馬市教育委員会へ |
福島 |
PC |
5月16日 |
1台 |
|
石川町教育委員会 |
宮城 |
コピー機(2台)/PC(2台)、プリンター(2台) |
5月 |
|
|
東松島市保育所/亘理町保育所2ヶ所) |
岩手 |
受水槽、浄化槽、給水タンク |
5月工事 |
|
|
|
宮城 |
ソーラー式ワクチン冷蔵庫 |
5月18日 |
|
|
|
福島 |
扇風機 |
5月30日 |
112台 |
|
南相馬市教育委員会 |
福島 |
マスク |
5月30日 |
10万枚 |
|
南相馬市教育委員会 |
岩手 |
コピー機1台 |
6月2日 |
|
|
保育所 |
埼玉* |
靴 |
6月15日 |
460足 |
コンバースフットウェア(株) |
|
ちっちゃな図書館送付状況:約15万冊が900箇所以上に届けられています。(6月20日現在)
福島「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトの参加児童数(予定含む):約5600名(5月26日現在)
*被災者受け入れ場所
※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。
2011年6月17日午前9時現在 (広報室まとめ)