東日本大震災緊急募金 第94報
宮城県山元町ふじ幼稚園で臨時保育再開!
【2011年8月2日 宮城発】
8月1日、東日本大震災で大きな被害を受けた私立ふじ幼稚園で、臨時保育が再開されました。震災から約5ヵ月ぶりに再開された臨時保育でしたが、この日集まった子どもたちは70名以上。臨時保育の再開場所となった真庭区民会館には、早朝から保護者に連れられた子どもたちがぞくぞくと集まり、久しぶりの友だちとの再開を喜び合っていました。
この日を心待ちにしていたというある園児の父親は、「再開が嬉しくて、一時間前から来てしまいました。家がダメになってしまって今は違うところに住んでいるのですが、子どもがずっと家にいて友達とも遊べずかわいそうでした。色々ありましたが、先生方がとても頑張ってくださって有難かったです」と、嬉しそうに話してくれました。
始業式では、鈴木のぶ子園長先生が次のように挨拶しました。
「本当に久しぶりに会えたので、胸がきゅーっとなっています。みんな大きくなりましたね。3月11日の寒かったときからずっと会えなくてごめんなさい。みんなのことをずっと考えていました。みんなに会えてすごくうれしいです。その間も地震があったりして怖かったですね。おうちで待っていてくれた子、他の幼稚園でお友達をつくった子、みんなこれからはふじようちえんで元気いっぱい遊びましょうね。
今までいたお友達で他の園に行った友達も、会えなくなった友達も、みんな心の中でずっとお友達でいましょう。このトトロの森のようなこの建物の中でたくさんたくさん遊びましょうね。」
「保護者のみなさん、お預かりしたお子さんをしっかり導いていきたいと思います。私たちは忘れてはいけないことがたくさんあります。亡くなった子どもたちのことを考えながら、新しい道を進んでいきたいと思います。これから誠心誠意、保育をつとめさせていただきます。」
「今後やっていけるのかどうなのか・・・という中、子どもたちが教育を受ける場を、ということでユニセフさんの支援が決まりました。今日も来てくれています。先日は、園舎を建ててくれる設計士さんにもお会いしたが、とても信頼できる方でした。色々なものが流されてしまった後、途方にくれていましたが、全国の幼稚園などから支援をしてもらいました。奈良と大阪からバスもきました。ユニセフさんと、お母さんたちと一緒に、楽しみながら幼稚園づくりをしたいと思っています。今日きてくれている子どもたち73名の半数が仮設住宅に住んでいたり、引越をしていたり、みんな苦労しています。震災前よりも一歩先に進めるように、みんなで頑張っていきたいと思います。ユニセフさんからも「プレイセラピー」を提案してもらっています。子どもたちへの対応、保護者の方の心のケアなど、今後講演会や勉強会もやっていきたいと思っています。」
次に、赤沼恒信ふじ幼稚園理事長が次のようにご挨拶しました。
「3月11日以来、色々とご心配をおかけし申し訳ありませんでした。職員一同努力してまいりました。新しい園舎は1月には再開したいと思っています。もう続けられない、とあきらめていたところ、ユニセフさんからの非常に有難いお話をいただきました。今後はユニセフの支援を受けて、何とか園舎を建てたいと思っています。しばらくの間、本当に申し訳ありませんが、ご父兄のみなさまのご理解をお願いしたいと思います。」
お母さん方は、子どもたちの遊ぶ様子に安堵の表情を見せ、幼稚園再開の喜びを次のように話しました。
「やっと始まりました。他の幼稚園に移ろうかとも考えたんですが、子どもが、ふじ幼稚園が大好きなので、ふじ幼稚園に行きたいと言いました。慣れているふじ幼稚園に通わせることができて本当によかったです。」
「子どもがとても喜んでいます。他の幼稚園に通わせていたときは、そこも楽しいと言っていました。でも、今日は朝からすごくテンションが高かったです。『お母さん、早く行こうよ』というのをなだめるのが大変でした。私も楽しみで、場所を確認しに朝7時に来てしまいました。」
「休園中、他の幼稚園にお世話になっていました。そのままそこに通わせようかとも思いましたが、上の子もふじ幼稚園だったので、安心感がありました。同じ先生だし、嬉しいです。よかったです。」
「すごく待っていたので、とても嬉しい。4ヵ月間ずっと家にいました。子どもは、友達と遊びたかったし、先生とも会いたかったみたいでした。今日はすごく元気に走り回っていて安心しました。」
また、お母さん方の中には、震災の被害を受けた複雑な心境を覗かせる方もいらっしゃいました。
「子どもは津波を見てしまったので、まだうなされています。震災からずっと外に出られませんでした。車もなかったので、ようやく外に出ることができました。ユニセフの支援はとってもありがたいです。」
「子どもは、自分以外全員の園児が亡くなったと思っていたようでした。『みんな、津波で流されちゃったの』と、人に会うたびに言っていたんです。『違うよ、みんな元気だよ』と言っても、繰り返し、繰り返し同じことを言っていました。今日みんなに会わせることができて、本当によかったです。」
「震災後、ずっと家で子どもと一緒にいました。そういう時間も必要だったかもしれませんが、今日、園が再開して、先生たちにお会いして、改めて本当にいい先生方に恵まれたと思いました。でも、子どもも私たちも心のケアが必要だと思います。」
日本ユニセフ協会では、園の先生方、保護者の方、子どもたちの要望を取り入れながら幼稚園・保育園再建支援プロジェクトを進めています。また、保護者と先生方向けの心のケア支援も行う予定です。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会
現在の支援物資到着状況
支援先
(県別) |
支援物資 |
到着日 |
数量 |
寄贈企業 |
備考 |
宮城 |
水 |
3月19日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
福島 |
水 |
3月22日 |
12,672本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
男児・女児用下着 |
3月22日 |
20万枚 |
|
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月23日 |
3万枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月23日 |
4,680本 |
キリンMCダノンウォーターズ(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
子ども用靴 |
3月23日 |
10,000足 |
|
|
宮城 |
子ども用おむつ |
3月24日 |
80パック |
P&G |
|
岩手 |
子ども用下着 |
3月24日 |
9,700枚 |
|
|
福島 |
水 |
3月24日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
岩手 |
靴 |
3月26日 |
1,404足 |
アキレス(株) |
|
岩手 |
男児・女児用下着 |
3月27日 |
28,266枚 |
|
|
岩手 |
長靴 |
3月27日 |
7,462足 |
|
|
岩手 |
お尻ふき |
3月28日 |
1,200個 |
P&G |
赤ちゃん用 |
宮城 |
レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」 |
4月2日 |
各50 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
ランドセル |
4月6日 |
70個 |
日本ニューバッグチェーン |
|
岩手 |
ランドセル |
4月6日
-7日 |
340個 |
セイバン |
|
宮城 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
岩手 |
学校用かばん |
4月8日 |
18,000個 |
|
ユニセフ物資供給センターより調達 |
宮城 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
岩手 |
防犯ブザー |
4月8日 |
5,000個 |
|
|
宮城 |
軽自動車 |
4月8日 |
3台 |
|
|
宮城 |
サプリメント |
4月上旬〜 |
4,000ボトル |
|
|
福島 |
水 |
4月11日 |
1,536本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
レクリエーションキット
補充素材 |
4月12日 |
60セット |
|
|
宮城 |
ミニカー |
4月12日 |
約1,200 |
タカラトミー |
|
相模原* |
水 |
4月12日 |
12,288本 |
VanaH(株) |
2Lペットボトル |
宮城 |
プレイマット |
4月13日 |
2種
各80枚 |
IKEA |
|
宮城 |
お絵かきセット |
4月13日 |
60セット |
IKEA |
|
岩手 |
保育園用いす・テーブル・座卓 |
4月14日 |
いす75脚・テーブル11台・座卓9台 |
|
被災した各幼・小・中・高と移転先へ |
宮城 |
原付バイク |
4月15日 |
5台 |
|
|
岩手 |
小・中学生用ノート・文具セット |
4月15日 |
(16,700セット) |
|
|
福島 |
ノート・文具セット |
4月16日 |
390セット |
|
|
宮城 |
PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) |
4月18〜21日 |
|
|
各幼・小・中・高と移転先へ |
福島 |
移動式黒板 |
4月21日 |
10台 |
|
|
福島 |
仮設トイレ |
4月22日 |
20基 |
|
|
福島 |
放射能量測定器 |
4月28日 |
14台 |
|
相馬市各学校へ |
岩手 |
更衣室・授乳用仕切りシステム |
4月29日 |
21セット |
|
|
埼玉* |
牛乳 |
4月末〜 |
|
|
加須市双葉町避難所 |
埼玉* |
ヨーグルト |
5月初旬〜 |
|
ダノンジャパン(株) |
加須市双葉町避難所 |
岩手 |
クーピー(120セット)/絵の具(240セット) |
5月13日 |
|
|
|
岩手 |
卓上電気スタンド |
5月14日 |
15台 |
|
|
岩手 |
文具セット |
5月16日 |
840セット |
|
|
福島 |
ロッカー |
5月16日 |
22セット |
|
南相馬市教育委員会へ |
福島 |
PC |
5月16日 |
1台 |
|
石川町教育委員会 |
宮城 |
コピー機(2台)/PC(2台)、プリンター(2台) |
5月 |
|
|
東松島市保育所/亘理町保育所2ヶ所) |
岩手 |
受水槽、浄化槽、給水タンク |
5月工事 |
|
|
|
宮城 |
ソーラー式ワクチン冷蔵庫 |
5月18日 |
|
|
|
福島 |
扇風機 |
5月30日 |
112台 |
|
南相馬市教育委員会 |
福島 |
マスク |
5月30日 |
10万枚 |
|
南相馬市教育委員会 |
岩手 |
コピー機1台 |
6月2日 |
|
|
保育所 |
埼玉* |
靴 |
6月15日 |
460足 |
コンバースフットウェア(株) |
|
ちっちゃな図書館送付状況:約15万冊が900箇所以上に届けられています。(6月20日現在)
福島「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトの参加児童数(予定含む):約5600名(5月26日現在)
*被災者受け入れ場所
※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。
2011年6月17日午前9時現在 (広報室まとめ)