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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第133報
— ユニセフ 祈りのツリー project —
宮城県気仙沼市『復興屋台村 気仙沼横丁』に
8mの“祈りのビッグツリー”が登場!

【2011年12月19日 宮城・気仙沼発】

震災後、初めて迎えるクリスマスに、東北の子どもたちに笑顔を届けたい。そんな想いのもと、さまざまな分野のデザイナーや美大生が、企業や大学の垣根を越えて集結し始まった「ユニセフ 祈りのツリーproject」。

12月3日、宮城県気仙沼市『復興屋台村 気仙沼横丁』に8mの「祈りのビッグツリー」が誕生しました。「祈りのビッグツリー」は、プロのデザイナーや美大生2000人が、被災地への祈りを込めて製作したオーナメントが飾られた特別なツリーです。11月より東京都内5会場(銀座三越、松屋銀座、資生堂ザ・ギンザ、ルミネ有楽町、有楽町ロフト)、仙台2会場(仙台三越、仙台ロフト)に登場。8本目となる最後のビッグツリーは、先月26日にオープンした気仙沼横丁に設置されました。
気仙沼横丁は、震災により被害を受けた飲食店が復興の誓いのもと集まり、営業をしています。敷地の中央には"きずなの塔"という8mの塔があります。あの日を忘れないという思いと、再建の強い決意を示す、屋台村のシンボルとして、気仙沼に到着した津波の高さ8mに造られました。この"きずなの塔"に、漁網やビン玉も用いた漁師町ならではのツリーを作りました。

ツリー設置の前には、気仙沼の子どもたちが「祈りのビッグツリー」に飾るオーナメントを作るワークショップも行われました。強い雨が続くあいにくの天候でしたが、オーナメント作りが始まる朝10時には、子どもたちが次々と会場にやってきました。中には、大島という気仙沼湾内の離島から朝一番の船でおじいちゃんと参加してくれた女の子もいました。自分がデザインしたオーナメントを作れることにどの子も夢中になり、完成したオーナメントを誇らしげに友達と見せ合う場面も見られました。仕上がったオーナメントは雨よけのカプセルに入れて、子どもたちの手でモミの木に飾りつけられました。オーナメントづくりと今回のツリーの設置を担当した神奈川県ユニセフ協会のスタッフやボランティアから「一日も早く元気な気仙沼に戻れるように祈りながら飾ろうね」と声をかけられると、子どもたちは自分の作ったオーナメントを入れたカプセルを大事そうに手の中に包んで飾っていました。

気仙沼の子どもたちの想いを受け取り、いよいよビッグツリーの設置が始まりました。天候は時間を追うごとに悪化し、雨だけでなく、風もとても強くなる中、神奈川県ユニセフ協会のスタッフ、そして、13名のボランティアスタッフが準備に取りかかりました。8m×20mの網の中央を、旗を揚げるように上まで引き上げ、円すいを作り、その周りをイルミネーションで飾り、ツリーの形に仕上げていきます。まずは、ツリーの土台となる気仙沼の漁師の方から提供いただいた漁網に、「祈りのツリーproject」に参加した全国のクリエーター、美大生の方からのオーナメントを一つずつ飾りつけていきました。400個のオーナメントをひとつひとつ手作業でつけ、漁網を徐々に引き上げるという作業を何度も繰り返していきます。指先が動かし難いほどの寒さ、そして、雨具を着ていてもしのげないほどの強い雨の中での作業でしたが、ようやく頂上に近づくくらい網を引き上げることができました。全員が上がる網を見上げる中、頂上に近い網が少しずつ破れたのが確認できました。次の瞬間、今まで作業していたすべてが一気に落下しました。誰もが言葉をなくしてしまいました。しかし、「16時半にはツリーの点灯式をやるから、見に来てね」と子どもたちと約束したことが原動力となり、なんとしても今日中に飾りつけようと、誰一人、手を休めることなく作業が再開されました。
予定とは異なり夕方まで行われた作業。気仙沼横丁の"きずな広場"にて行われる予定だったライブイベントも中止になるほどの厳しい天候や、風の強さ、そして重さなどの負担で網が破れてしまうといったトラブルもありましたが、心をこめてつくられたツリーが点灯式を目前に完成しました。

きずな広場にあつまった人々を前に、点灯式でのカウントダウンが始まりました。ほの暗くなってきた気仙沼の景色にイルミネーションがついた瞬間には「わー」という歓声が上がりました。ひときわ高く輝くツリーを見て人が集まり、飾られたオーナメント一つ一つを眺めていく、きれいだねって一緒に見上げる、そんなすてきな瞬間がたくさん生まれていました。

気仙沼の町は街灯も少なく、夜になると建物などに残された津波の傷跡が深い暗さを見せていたのですが、その中に遠くからでも見える「祈りのビッグツリー」が完成しました。
「これはみんなが集まるね」とうれしそうに話してくださった気仙沼横丁の小野寺事務局長の言葉や、「明るい話題がなかったからね、みんな元気になれるよ」「まるで希望の光のようだ」という地元の方々の声を聞き、設置の指揮を行ってきた神奈川県ユニセフ協会 谷杉佐奈美事務局長も「9時間に及ぶ大雨の中での設置作業の疲れが消え、本当に設置してよかったと感じた」と話しました。

5月から進めてきたこの「祈りのツリーproject」。

オーナメントを製作したデザイナーや美大生の想い、そして、銀座、有楽町、仙台で祈りのビッグツリーを見上げた方の想い、呼びかけ人となってくださった方々の想いをのせて、気仙沼で今夜も大きなツリーが輝いています。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

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